2006年5月アーカイブ
九州南部は入梅し,梅雨のシーズが到来しつつあります。やはりそういうときは雨の様子が知りたいものです。そこで,ウェブ上にある気象レーダーをGoogle Mapsにオーバーレイしたページを作成しました。Google Mapsの非公式プラグインのTphotoを使用しています。これだと簡単に地図がオーバーレイできます。作品は2つあって,東京都下水道局の東京アメッシュ,気象庁のレーダーです。
東京アメッシュ
http://webmodis.iis.u-tokyo.ac.jp/~tagchan/radar_jwa.html
気象庁レーダー
http://webmodis.iis.u-tokyo.ac.jp/~tagchan/radar_jma.html
Opacityの数字をクリックすると,透過が変化します。もちろん,縮尺も変化することが可能です。
これのメリットは,自分のいる場所と雨の場所を特定しやすいという点があげられます。レーダーで雨の様子が分かっても,結局自分のいる場所が,画面からは分かりにくかったのです。でも,Google Mapsを使うと,ズームインやズームアウトで特定できますので,場所の特定が容易でしょう。
ただし,これらの観測結果には空間解像度や空間スケールがあるわけですから,あまり詳細に見ることは適切ではありません。気象庁レーダーはせいぜい,都道府県スケール,東京アメッシュは市区町村スケール程度でしょう。
※ この作品は,実は去年すでに作成していましたが,Google Maps API Ver.2に対応して,リニューアルしました。
天気予報、8割的中も「外れ感」 泉麻人さん「上出来」 (朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0526/TKY200605260242.html
気象庁の天気予報の満足度が落ちている。同庁の3年ぶりの調査で、「満足」は14%で、4ポイント近く下がった。的中率は80%と高率を保つものの、「予想が外れる」ことに不満が多い。「暖冬予想」が外れたことも影響しているようだ。同庁は「明日の天気や週間予報など関心が高い分野で不満が多い」と分析。「外れ感」の解消をめざす。
「落ちている」というより,「落ちた」のですね。今年は暖冬予想がはずれたので,満足度が下がっても仕方ないですね。しかも,はずれた日は印象に残ってしまう事が多いのでしょう。また,この的中率は降水の有無の的中率なわけですから,それと満足度を比較するのはちょっと強引です。
天気予報に関する調査は昨年12月、青森、千葉市など全国9都市の約4500人に郵送し、約1600人から回答があった。
天気予報に関するアンケート調査の結果について
http://www.jma.go.jp/jma/press/0604/24b/h18_manzokudo.html
上記URLにアンケートの詳細があります。まず突っ込みたいのが,アンケートを行った対象。地域がなぜ限定されているのでしょうか。もちろん,前回調査と重なっている地域があるので,比較は可能ですが,天気の地域性を考えると,日本全国を均質に調査を実施するべきでしょう。
あと,興味深いのが泉麻人氏の登場。この人,塾高の先輩ですね。自分が日吉祭実行委員会で講演会を担当してましたが,その時,泉氏に講演をお願いしています。塾高出身&日吉祭&気象予報士で以外と繋がりがあります。本人は知らないでしょうけど。その泉氏は,以下のようにコメントしています。
気象庁のホームページが活用されているのに、一般向けに作られていない。業界用語が無意識に使われていたり、地図がなくて雨の区域がどこかわかりにくかったりする。東京都内でも地域によって天気や気温はかなり違う。人口の多さなども考慮して、より細かい地域予報があった方がいい。
「満足度」というのは,予測が的中するから満足という部分と,意思決定に容易に活用できる有益な情報が提供されるから満足,という部分の2つがあるのではないでしょうか。
そう考えると,泉氏のコメントは,後者の部分の満足についてコメントしています。でもこれって,民間気象会社ががんばるところではないのでしょうか?細かい地域予報とか付加価値のある気象情報は気象会社がやればいいのです。
そもそも満足度を気象庁が一手に引き受けてアンケートしていること自体が変な気がします。気象庁は,数値予報モデルを向上させ,的中率や予測誤差を下げることに注力し(前者の満足度),気象会社がその情報をユーザーフレンドリーな形で一般向けに提供する,という役割分担をきっちりやるべきだと思います。
気象庁が気象の全てを握っている(実質そうですが)ようにアンケートを実施しており,民間気象会社の存在が感じられません。どうせ国の機関なわけですから,満足度の高い情報なんて期待するのではなく,民間気象会社が後者の満足度を詳細にリサーチし,おもしろい情報を提供していく努力をしないといけません。
そうすれば「全体の」満足度は上がるでしょうね。
やっと諸問題が解決し,kmlを自動生成することができるようになりました。awkとperlを使っております。これでperlがなんとなくわかった気がする・・・。
Active Fire Map KML List
http://webmodis.iis.u-tokyo.ac.jp/~tagchan/FIREGE/
毎日お昼頃までに新しいkmlが生成されるはずです。右クリックでダウンロードし,Google Earthでご覧ください。
前日のエントリーで,Google Mapsの方にはActive Fireをマッピングしていました(リンク)が,Google Earth版を試作しました。Google Earthで表示するには,kml(kmz)というファイルを,ファイルのパスにひらがなや漢字などの日本の文字が入らないように保存します。そして,ダブルクリックするとGoogle Earthが起動するはずです。
以下にkmlファイルの試作品をおきます。右クリックでファイルを保存してください。
http://webmodis.iis.u-tokyo.ac.jp/~tagchan/FIREGMAP/20060518.kml
凡例を左上に表示させ,シンボルはGoogle Mapsの時と同様です。
このファイルは,火災検知結果のテキストファイルを,AWKという言語を使ってkmlに変換するようなプログラムを書き,実行しています。一応,毎日定時にファイルを作成できます。しかし,AWKには時間を制御する関数がなく,このデータがいつの日付かを,kmlに記述できていないんです。まだ問題がありますが,数週間で解決したいと思います。
以前紹介した,衛星データによる火災検知結果のGoogle Mapへのマッピングですが,正式にWeb公開されました。
Aqua/Terra MODIS active fire map over Asia
http://webmodis.iis.u-tokyo.ac.jp/FIRE/
日付の右に「View active fire location with Google map」があるので,それをクリックすると飛べます。前回紹介した時と基本的に変わっていません。気づいたことがあったら,教えてください。よろしくお願いします。
さて,次の発展としては,以下のことを考えています。
①ニュースとの関連性
②Google Earthへは対応しないの?
①は検知された結果の検証のために重要です。ニュースで紹介された森林火災は,それなりに規模も大きいはずなので,検知されている可能性大です。なので,Google Newsで,森林火災関係のキーワードで検索をかけてみることにしました。例えば,「Forest fire|fires china」のようにして,fireとfiresはorで同列にして,国名や地域名で検索をかけます。これについてはテストページを用意しました。ただ,キーワードの検索結果のリンクしただけです。ページの下のほうにあります。
②は前回の六地蔵さんのリクエストもあって,一応試作しました。定常的に作成できる段階まできていますが,まだ対応できてない部分もありますが,明日にでも試作品を紹介しましょう。
NECエンジニアリング、衛星画像処理システムに気象データ収集機能を追加
http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000056021,20113087,00.htm
ひまわりから受信した雲の画像に、インターネット経由で取得した速報天気図を1クリックで重ね合わせる機能を追加。リアルタイムの気象データを視覚的に把握しやすくしたという。
まず,こういう気象衛星受信システムをCNETが取り上げていることが驚きですね。従来はスタンドアローンのシステムなのですが,インターネット経由でデータを重ねることができる機能が追加された,ということでしょうか。
新たに気象庁のAMeDAS(アメダス)システムの観測データをはじめ、降水量予測、波浪予測、台風情報などのデータを自動収集、表示する機能を備えた。「気象についての専門知識がなくても気象予測ができる」(同社)という。
「気象の専門知識がなくても」 ・・・NECさん,そんな強気なこと言ってよいのでしょうか。
そもそも気象衛星画像を受信する需要なんてあるのでしょうか?
ひまわり6号画像受信処理システム NESDUS-Vi(ネスダス ヴィアイ)
http://www.nec-eng.com/pro/nesdus/
また弊社では、災害など緊急事態発生の際に緊急情報を登録メンバーに一斉発信する緊急情報同報システムとの連携などを予定しており、ユビキタス社会の「安全」と「安心」の実現およびお客様のビジネス機会創出に今後も積極的に取り組んでまいります。
これを重視するほうが重要で,降水レーダーやアメダス(直接受信できないので,気象業務支援センター経由)を活用するようにして,気象衛星画像受信システムにとらわれない方が良いような気がします。
気象庁、測候所を原則廃止へ、100年超す歴史に幕
http://www.asahi.com/national/update/0512/TKY200605120360.html
気象庁は12日、全国46カ所の測候所を10年度までに原則廃止し、職員338人を削減する方針を決めた。測候所は明治時代から気象・地震観測やサクラの開花宣言など地域に密着した観測活動を担ってきた。しかし、気象観測の自動化に公務員削減の流れが加わり、100年を超す歴史に幕を閉じる。
やはり,気象庁は人員削減を実施するようです。そのため,測候所が原則廃止,つまり人間による観測から,機械による自動観測,つまり「無人化」することになるわけです。気象庁の現在の測候所の一覧は,気象庁のサイトで見ることができます。この測候所一覧を見て思うのは,八丈島とか大島,対馬(厳原)のような島嶼部の場合って,無人化して良いのだろうかと思ってしまいますね。
測候所廃止に反対の立場のコメントして,以下のサイトを発見しました。
測候所廃止(無人化)の拡大に関する声明
http://www.kokko-net.org/kokkororen/mondai22.htm
測候所は、おもに観測点、気候区、地場産業の三点を考慮して配置され、その地域の気象と自然環境を監視・観測する最前線であると同時に、地域住民の生命と財産を自然災害から守るという重要な任務と、農業・漁業・産業・交通・観光など、あらゆる分野にわたって国民の生活に必要な気象・自然現象に関する情報を提供してきている。
「最前線」という言い方が良いですね。ただ,地味な業務ですから,なかなか効果が見えないので,削減の槍玉にあがってしまったのでしょうか。もちろん,技術の向上というのもあるわけですから,自動でできることは自動化しても良いとは思います。それでも,多少なりとも気象に関わりのあるものとしては,「残念」といわざるを得ません。非常に複雑な気分です。
Creator's NEXT、Google Maps API 利用の老人ホーム検索を開始
http://japan.internet.com/finanews/20060510/4.html
老人ホームマップは、ドラッグ操作で地図を移動出来る Google マップ上に、約3万件の老人福祉施設情報を表示するサービス。検索された老人福祉施設には、口コミ評価の投稿も可能だ。
老人ホームはマッピングしたら,たくさんありそうですね。ただ,口コミっていっても評価するのがご老人ですから,なかなか評価が蓄積しないかもしれませんね。誰が評価するのでしょうか。しかも,グルメとは違って,何年もいるわけなので,気軽に移れるわけでもないですし。
老人ホームマップ
http://www.roumap.com/
Microsoft、Vexcel買収で地図検索強化へ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0605/05/news008.html
Microsoftは地域情報/地図検索のVirtual Earth事業部にVexcelを組み込み、製品とサービスの強化を図る。
Vexcelはリモートセンシング関係ではそれなりに名前の通った企業です。地図会社とは違って,地図よりも衛星画像とか空中写真などの,写真系が強みを持っている会社です。つまり,Microsoftは衛星写真系(地図ではなく写真の方)に力を入れるために買収したのでしょうか。Vexcelは自前で撮影する技術がある会社だと思うので,取得した衛星写真や空中写真をスムーズにVirtual Earth上で提供できるようになるのではないでしょうか。
リモートセンシング企業の規模なんてたかが知れていますよね。
やはり,巨大IT企業に簡単に飲まれてしまいますか・・・。
衛星データの公開制限へ 軍事転用恐れ文科省(共同通信)
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2006050401001636
文部科学省は4日までに、宇宙航空研究開発機構が運用する陸域観測衛星「だいち」について、軍事的な利用や、日本の外交や安全保障への支障が懸念される場合には観測データを非公開とする方針を決めた。
無制限に公開すれば日本の国土が危険にさらされるだけでなく、公開を望まない国との関係を悪化させる恐れがあると判断した。日本の衛星では、2003年に2基同時に打ち上げた情報収集衛星が能力や軌道も含めてデータを非公開としているが、一般の観測衛星では初の公開制限になる。
どのデータを非公開にするかの判断は難しいため、関係省庁を含めた態勢と判断基準となる指針を早急につくり、ことし9月の衛星本格運用までに準備を整える。
だいちは1月打ち上げ。3方向から撮影した地表のデータから、2・5メートル四方ごとに標高を誤差3-5メートルの精度でとらえ、精密な立体地図を作ることができる。(全文掲載)
今さら制限してどうなるんでしょうか。ALOS程度の解像度なら,制限する程ではないと思うんですが。
黄砂が対流妨害、排ガスの濃度上昇...気象研
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060503i103.htm?from=main1
上空500~4000メートルの黄砂を含む層の温度が、下の空気よりも約10度高いことを確認した。通常は、上空になるほど温度が下がって対流が起こり、空気がかき混ぜられる。ところが、逆転現象により、上空では対流が妨げられ、観測を行った首都圏では、排ガスなどの大気汚染物質の濃度が上昇した。
黄砂があると,その層の気温が上空ほど上昇し,沈降逆転層が形成されてしまうわけですね。直感的には相当な黄砂が運ばれないとならないのではないでしょうか。もはや黄砂は厚みを持った膜ですね。今後,黄砂の飛んでくる量が増えて,黄砂が下層まで降りてくれば,汚染ガス濃度の上昇が顕著になる可能性もありますね。
私が所属している研究室では,MODISと呼ばれる衛星データを毎日受信しています。このデータから,主として森林火災をターゲットとして,準リアルタイムで発生箇所の抽出を行っています。アメリカのNASAでもこのようなことを行っていて,MODIS Rapid Response Sysetmというサイトで火災地点が公開されています。
そのアジアバージョンを私の研究室で行っているわけなのです。アルゴリズムはNASAをベースにして,多少アジア版にチューニングしてあります(その辺は詳しくは聞いてないです)。研究室では,タイのバンコクにあるアジア工科大学で受信されたデータも使っていて,2日後に火災が発生した地点が明らかになります。
そこで,この自動的に検知された地点をGoogle Mapsにマッピングしてみることにしました。静的な空間情報をマッピングする例はたくさんありますが,動的に更新されていく空間情報をマッピングする例というのは,なかなかないと思っています。テストサイトを以下に示します。
http://web.sfc.keio.ac.jp/~tagchan/gmaptest/index.php?date=20060429
このURLの右側,date=20060429は日付を表していまして,4月29日に受信した衛星データから検知した結果を見ることが可能です。今回,2006年4月のデータは整備しましたので,20060401~20060429で値を変化させると,その入力した日で検出した結果を表示することができます。
日別の火災検知データは日ごとにテキストファイルになっていますので,phpを利用して引数で日付を入力させ,その指定した日付のテキストファイルを読み込むようにしています。
また,この検知結果は信頼度(Confidence)が付加情報として付与されていますので,その信頼度によって,マッピングしたポイントを色分け表示にしてみました。そして,その信頼度や座標を,ポイントをクリックすると吹き出しで表示させるようにしてあります。左下の表は信頼度別に,検知された地点の数を集計しています。
右下のインデックスマップは,以前のエントリで公開したものです。そして,左にはその枠の表示範囲や中心の緯度経度を表示させておいきました。
ただ,IEとの相性が悪いのが現在の問題点です。Firefoxならエラーは発生しません。IEの方は,地図が表示されない場合,エンコードをUTF-8に変更すると見ることができます。
