2007年3月アーカイブ

ハリケーンKatrinaによるNew Orleansの被災後の衛星画像は,Google Maps/Earthでいち早く公開されていました。どうやら最近画像が切り替わったらしく,被災前のデータに戻ってしまったようです。アメリカでは,これに関して結構話題になっているようです。

Google Goes Back To Pre-Katrina Maps (CBS News)

Google's popular map portal has replaced post-Hurricane Katrina satellite imagery with pictures taken before the storm, leaving locals feeling like they're in a time loop and even fueling suspicions of a conspiracy.


被災地域の衛星画像によって,保険の申請の資料へ活用したり,被害復興計画に活用されたようなので,非常に重要な衛星画像だったはずです。この画像にアクセスできなくなってしまった点は,非常に残念といえるでしょう。引用した記事によると,画像の切り替えによって,Googleに対して批判が広がっているようです。


ただ,やはり災害を受けている状況の画像を公開し続けるのも,違和感があるのも事実。地図を見て,旅行を取りやめてしまう人もいるかもしれません。見た目とか,そういう点を総合的に判断してGoogleは切り替えを決めた可能性もあります。一応,Google側は以下のように述べており,ベストの画像を提供していると主張しています(Chikai Ohazama氏は日本人?)。

Chikai Ohazama, a Google Inc. product manager for satellite imagery, said the maps now available are the best the company can offer. Numerous factors decide what goes into the databases, "everything from resolution, to quality, to when the actual imagery was acquired."


最適な画像を提供する判断はGoogle側にあるわけですから,この判断は仕方が無いとはいえ,このような衛星(航空)写真は影響力が大きいため,判断は慎重に行うべきでしょう。


ベストなのが,一番最近の画像を載せることですが,これはコスト的に現実的ではありません。時価総額が18兆円をこえるGoogleですが,さすがに全世界で高解像度の画像を最新に切り替える作業を継続することは,絶対に無理でしょう。


現実的に考えられる点は,画像を最新にすることではなく,ユーザーに画像の撮影時間を意識させることでしょう。撮影時間がわかれば,ユーザーは意識的に今の状況を推測することが可能となります。


私の考えとしては,Google EarthにしろMapsにしろ,撮影時間を明記するべきである,ということです。紙ベースの地図は最新が前提だったわけですが,せっかくITを利用するのであれば,そのようなことを考慮した地図表示システムを提供することは可能でしょう。


『追記』
なお,Google Mapsではなく,有料のスタンドアローンソフトウェアであるGoogle Earth Proについては,以下の記事によると,2時期で切り替えが可能なようです。
Google Shows Pre-Katrina Photos for New Orleans (Google Earth Blog)by FrankTaylor

横浜市三千分一地形図
http://www.city.yokohama.jp/me/machi/kikaku/cityplan/gis/3000map.html


Google Earthのkmlファイルで横浜市の過去の1/3000の地形図を閲覧することができます。この時代に1/3000の地図が整備されているとは知りませんでした。早速,kmlファイルをダウンロードし,Google Earth上で透過表示としてオーバーレイしてみると,


070329.jpg


こんな感じになります。上大岡駅周辺なのですが,ちょっとずれてますけど良い感じで重なっています。もちろん,重ならないのは,地形図の誤差とかいろいろな要因があります。そういえば,戦中戦後直後の地形図って,写真測量なんだろうか…。


地形図の詳細については,上記URLに記載されています。


「三千分一地形図」は、1919(大正8)年の旧都市計画法の成立を契機に、都市計画策定の基礎資料として作成されたものです。
 横浜市では、1921(大正10)年から「三千分一地形図」作成を目的に、詳細地形図測量に着手しています。この取組は関東大震災により中断を余儀なくされましたが、1925(大正14)年から改めて測量の取組を開始しました。
 その取組にあたっては、欧米の都市計画の基礎資料を参考にしています。縮尺3000分の1、東西2400m、南北1800mの図郭とし、当時の横浜市域を53図葉でカバーする計画でした。
 現在残っている地形図を見ると、戦前では1938(昭和13)年まで詳細地形図測量に基づいて三千分一地形図が作成されていたことが確認されますが、その後は厳しい戦時体制となり、郊外部を対象とした三千分一地形図作成は陸地測量部(現在の国土地理院)が作成した一万分一地形図を三千分一に拡大して利用していることが分かります(これらの地形図には「仮製」と表示されています。)。そして1949(昭和24)年から1950(昭和25)年には、戦前に地図作成ができなかった金沢付近の地形図が、最後の三千分一地形図として作成されました。


大正時代からはじまり,関東大震災や第二次世界大戦があったわけですが,戦後も継続して作成していたようです。


技術的な点としては,図葉ごとにkmlが分かれているのは不便です。いちいちダウンロードしないといけません。1つのファイルでシームレスに表示できるようになると,さらに便利になるでしょう。


とかく,kmlで表示可能となった点は,大きな進歩といえます。地図が好きな人にはたまらないでしょうが,小中学校の総合学習など,教育にも活用できるでしょう。国土地理院も,過去の地形図はじゃんじゃん公開して欲しいですね。

KML and GeoRSS Support Added to the Google Maps API (Google Maps API Blog)
http://googlemapsapi.blogspot.com/2007/03/kml-and-georss-support-added-to-google.html


Google Maps API上で,インターネット上にあるkmlを読み込んで表示可能となりました。上記URLにはサンプルがあります。

http://tagchan.net/blog/2006/07/google_mapskml.html


で紹介したように,Google Mapsの検索画面でkmlのURLを入力すると,地図にフィーチャーがオーバーレイされることを紹介しました。今回は,自前のサイトのAPIに組み込んで表示可能となったわけです。


ただ,勝手に読み込みにいけるとなれば,あたかも自分が作成したデータのように振舞うことも可能かもしれません。データ作成者の著作権をどのように守っていくのか,その辺が気になります。


また,オーバーレイできるのは,点・線・面の3つだけのようです。


Can Google Maps read the KML files I've made for Google Earth?
http://maps.google.com/support/bin/answer.py?answer=41136&topic=1475

Please note that Google Maps currently supports KML files with points, lines, polygons, styles, icons, and network links (without view-based refresh). We plan to add support for ground overlays, screen overlays, folders, and visibility in the near future.


地図画像を直接オーバーレイできるGroundOverlayはまだサポートしてないようで,将来的にはサポートするようです。私が以前やった,

http://tagchan.net/blog/2007/01/wmsgoogle_mapsearth_1.html


Google maps + WMSのように,kmlでWMSレイヤーもオーバーレイできるようになったりして…。


もうひとつ,GeoRSSは,RSSに地理情報を与えることができる仕組みです。あまり広まっている印象はありませんが,こちらも要チェックでしょう。

日本では,1999年にMTSATの打ち上げ失敗によって,後継機の問題が浮上しました。耐用年数を越えたひまわり5号をなんとか運用し,その後代わりにアメリカのGOESという気象衛星を持ってきて,気象衛星観測を継続できました。今は,バックアップ機も打ちあがってますので,日本の気象衛星観測は当分大丈夫でしょう。しかし,このアメリカの事例は,後継機すら予算がなくて打ち上げられない状況のようです。


米国、予算不足で気象観測衛星の運用維持が困難な状況に (Technobahn)
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703191655

クイック・スキャット(QuickScat)は1999年に打ち上げられた気象観測衛星。耐用年数とされていた 5年を既に越えて運用が続けている。代換機の開発には約4億ドル(480億円)の費用と4 年の開発期間が必要となるが、今のところ、代換機の開発計画はまったく持ち上がっていない。


この気象衛星,ひまわりのように雲を撮影するのではなく,可視光や赤外線の波長帯ではなく,マイクロ波を使って風を観測する衛星です。気象衛星のように,地球から見ると同じところにとどまっているような軌道をとる衛星ではなく,周回している衛星です。

クイック・スキャット衛星は地表の風速や風向きなどを観測することができる気象観測衛星。800kmの中軌道を周回しながら地球の全域(正確には地球表面の90%)を観測する能力がある。地上の風速や風向きなどを観測することが可能で、観測が難しい主に海洋での気象データ収集には不可欠な気象衛星の一つとなっている。


この衛星,日本ではほとんどなじみがありませんが,


WMO衛星問題ハイレベル協議会の結果について (平成15年2月26日 宇宙開発事業団 )
http://www.jaxa.jp/press/nasda/2003/wmo_20030226_j.html#section-7


によると,日本の気象庁は,台風解析と数値予報に用いることが明記されています(ページ下の標)。ということは,現業としてこのQuickScatを使用しているようですね。知らなかったです。ということは,多少の影響があることが予測されます。アメリカのハリケーン予測の影響はというと…。

国立ハリケーンセンターではクイック・スキャット衛星が運用停止に陥った場合には2 日先のハリケーンの進路を予測する精度は10%低下、3日先の予測精度は16%低下することになるだろうとしている。


日本の台風の予想にどれくらい影響があるのかは,情報が無いので分かりません。日本もアメリカと同じデータおよび方法を採用しているのであれば,上記の数字のような精度が低下する可能性があります。


衛星データというのは,データの取得までに膨大なお金がかかるため,予算によって大きな影響を受ける分野です。現業として使用されている衛星データは,継続性を保ってもらいたいものです。

トプコンとソキア 経営統合で基本合意 測量機1・2位、海外勢に対抗(FujiSankei Business i)
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200703170021a.nwc

測量機の最大手トプコンと2位のソキアは16日、経営統合することで基本合意したと発表した。経営基盤を強化し、海外の巨大メーカーに対抗する。トプコンの国内シェアは約40%に上り、統合後のシェアが50%を大幅に上回るのは確実なため、公正取引委員会の承認を得て、最終合意を目指す。


なんと1位と2位の統合のようです。毎年,測量の全国イベントに参加していますが,大手企業のブースと,それ以外の企業の小規模のブースの大きさの差がどんどん開いている,という話を関係者から聞いたことがあります。つまり,測量機器業界は勝者敗者の2極化が進んでいるということなのでしょう。そうなると,測量機器業界では,さらに大手企業とそれ以外の企業の差が開いていくことが予想されます。さらに,今回の統合は国内企業との競争は念頭になく,海外との競争で生き残れないと,立ち行かなくなると判断したのでしょう。


測量機器は物ですから,簡単にリプレースしてシェアが変わってしまうため,国内企業にとっては海外製品は脅威となります。ただ,同じ業界で航測会社は,業務が地方自治体や国から来ていることが多いと思うので,権益は守りやすく,測量機器業界とは状況が異なっています。ただ,公共事業が縮小していることを考慮すると,民間向けの仕事の開拓が進まない航測会社がある場合,生き残れなくなってトプコンとソキアのような経営統合もありえるかもしれないですね。

パソコン見放す20代「下流」携帯族 (Facta Online)
http://facta.co.jp/article/200703060.html

第二のデバイドが裏付けられたのは、ネット利用動向の調査サービス会社ネットレイティングスが昨年11月に公表した「データクロニクル2006・ファクトシート」。2000年4月から06年3月までの6年間でのPCサイト利用者の年齢構成比のグラフがショッキングだった。これまでネット利用を牽引してきた 20代の比率が劇的に下降線をたどり、直近では全世代の11.9%に過ぎず、50代(11.8%)にほぼ並んでいる。20代人口の減少も反映しているとはいえ、これまでの常識を覆すような数値が出たのだ。


情報源は
http://www.netratings.co.jp/New_news/News11072006.htm
にあるが,詳細は有料らしく,細かい数字は不明である。あくまでも割合なので,数字が変わらなくても他の年代の数が増えれば,割合が減少する可能性がある。その点を考えると,この図だけを示すというのは不親切であり,母集団の数や実際の数字を示すべきであろう。それでも,20代の利用割合の現象は顕著であることは注目に値する。


最近の携帯電話は便利である。リアルタイムでの情報取得の利便性や情報発信の容易性を考えると,携帯電話の方に利が多いことも事実であろう。そう考えると,PC利用の割合が低下することは,場合によっては理にかなっている可能性もある。それをディバイドと決めて良いのかというのは,疑問である。また,この統計は自宅でPCを使う割合であり,会社などでPCを使っている可能性もある。


特に数字などの根拠が無く,PCを使わなくなることを下流とみなす上記記事は,非常に疑問を感じる。それでもこのグラフの示す低下は興味深い。

(注:パソコン利用=ウェブ利用を前提としています。)


【追記 2007年3月9日:今の20台が谷間世代である可能性についての自分の考え】


PCはすぐに使いこなせるわけではありません。ある程度スキルが必要な道具だと思うので,10代の頃にPCを使う機会が多かったかが,その先PCを重視して利用するのかを決めるファクターになると思います。


私は20代の中盤ですので,昔を振り返ってみます。中学・高校の頃は,PCを使う機会がほとんどありませんでした。中学はまだPC98,高校は Windows95が発売されて2年後くらいで,インターネットが普及し始めたころでしたね。大学はSFCのおかげで,PCは生活の一部となりました。


一般的な20代を想定してみると,やはり中高時代のPC環境は自分と同じだったでしょう。また,大学も一人一台という環境まではいってないはずなので,PCの利用機会が激増したとは考えにくいです。一方,家庭では,今の20代の親の世代は,そこまでPCが浸透している世代ではなかったと考えられます。つまり,学校や家庭にPCがそれほど浸透せずに,20代になった可能性があります。


現在,自分のころよりも学校にPCは整備されていると思います。ですので,今の10代はPCに触る機会が多いでしょう。親にあたる30~40代は PCを使うことに抵抗がないので,家庭にPCがある可能性は高いでしょう。そうなると,現在20代の10代の頃と比較して,現在10代の方が,PCに触れる機会が多くなっている可能性は高いかもしれません。


20代が谷間世代の可能性は十分にあると思います。

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