2007年8月アーカイブ
ニコニコ動画に気象衛星画像のアニメーションが公開されている。ちなみに,閲覧にはユーザ登録が必要である。
YouTubeは動画を流すだけだが,ニコニコ動画の場合,閲覧者の反応が字幕に表現されているので,一般の人々の反応を知ることができて興味深い。
これなら,例えばアメダスの一日の気温変化など,動画を作るネタは結構ありそうだ。時系列の衛星画像についても,こういう機会に公開して反応を観察してみるとどうだろうか。
今回はリモートセンシングに関するマニアックな話です。
地球の凹凸全部見せます ネット公開 経産省とNASA (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/0809/TKY200708090410.html
経済産業省と米航空宇宙局(NASA)は08年12月、人工衛星から撮影した全地球の3次元地形データを無償で公開する。測量ができない地域の詳細な地形図作りや、火山や土石流など自然災害の被害予測にも使える。全地球的なデータを公開するのは世界初。10日、日本列島だけの試用版をインターネットで公開する。
公開するのは、全地球の30メートル四方ごとの標高データ。NASAの人工衛星テラに搭載され、経産省が開発した地球観測センサー「ASTER」が赤外線で撮影した。
地球上のどの地点のどの方向からも鳥瞰図(ちょうかんず)を作ることができる。フリーソフトを使ってデータを加工し、鳥の目や飛行機からみたような動画も作れるから、パソコン上で地球上のどこでも遊覧飛行ができる。
地形の傾斜など細かいデータがわかるため、溶岩や土石流などが流れる範囲や時間などが正確にわかり、ハザードマップの作製に使える。軍事用にはさらに細かいデータが必要で、利用には適さないという。
これまで、スペースシャトルが撮影したデータが公開され、検索サイトグーグルなどで見ることができる。だが、北緯60度から南緯56度の範囲でデータが欠落している部分もあった。今回は、欠落はなく9倍細かい。
経産省宇宙産業室は「世界中のだれもが無料で利用することで、日本の宇宙産業技術のすぐれた部分を世界中に広く知ってもらいたい」としている。今年11月に、南アフリカのケープタウンで開かれる、地球観測サミットで計画を発表することにしている。
試用版の公開は、ASTER全球3次元地形データのウェブサイトで。
その,ウェブサイトはこちら。
G-DEM Project (ERSDAC)
http://202.32.29.90/J/index.html
ASTERは経済産業省の衛星センサーで,NASAが打ち上げたTerraという衛星プラットフォームに搭載されている。1999年に打ち上げられ,2000年の観測開始以来,7年近く観測を続けている。このASTERが撮りためたデータを使って,地形データ(Digital Elevetion Model; DEM)を作成し,公開するということである。
全世界に近い範囲(Near-Global)で,均質な地形データは,現在のところ2種類公開されている。それが,G-DEMのサイトにまとめられている。
他のGlobal DEMとの比較(ページ下部の表)
http://202.32.29.90/J/2.html
GTOPO30は,いろいろな機関が過去に作成したデータを張り合わせたものであり,1000m(30-arc)の解像度である。ただし,データソースが複数であるため,精度が一様ではない。また,場所によってはタイル状のエラーが見受けられる。(最近,このGTOPO30はアップデートされ,下記に紹介するSRTMもデータソースとして使うようになった。)
SRTMはリモートセンシングによって取得されたものである。スペースシャトル「エンデバー」(確か毛利氏が乗っていたはず)が2000年2月に取得したデータである。
そして,今回新たに登場予定のASTERが作成したG-DEMについても,リモートセンシング技術を基に取得されたデータである。ただし,SRTMとG-DEMは同じリモートセンシング技術であっても,取得方法としては大きく異なっている。
大きな違いの1つは,使用する電磁波の種類とセンシングの方法の違いである。
SRTMは,電磁波の種類の中でも波長が長いマイクロ波を使った技術である。マイクロ波は雲による影響を受けないため,全天候型である。また,マイクロ波をセンサから自ら発してセンシングし,受信するため,昼夜関係なく取得できる。そのため,スペースシャトルのミッション程度の短期間でデータを取得することが可能だ。
一方,G-DEMは立体(ステレオ)視と同じ原理で地形データは取得される。この場合,波長帯は可視光や近赤外を使っており,太陽光が地面を反射してセンサに戻ってくる光を受信する。そのため,雲の影響を受けてしまう。もちろん夜は暗いため,撮影しても使うことができない。従って,G-DEMは長期間にわたって撮影した昼のデータを用い,さらに雲の無い場所を取り除いてはじめて完成する。
2つ目の違いは,撮影範囲である。
SRTMの場合,プラットフォームであるスペースシャトルの観測範囲に制限あるため,極付近は取得できていない。一方,G-DEMのASTERを搭載したTerraは,極軌道衛星であることから,極に近い部分が撮影可能である。SRTMでカバーできない範囲を整備可能というのは,G-DEMの強みといえる。
さて,G-DEMのサイトで,メリットとして挙げていた空間解像度については,そんなにメリットとは言えない。SRTMは空間解像度が90mとしているが,アメリカ国内では30mで公開されている。実は,SRTMは30mの空間解像度も可能なのだ。つまり,空間解像度の値としては,G-DEMとSRTMはそれほど差がない。
標高値の精度については,G-DEMのサイトではSRTMは10m,G-DEMは7mとしており,G-DEMの方が上であるとしている。最近の報告ではSRTMでは10m以下の精度であることが報告されており,G-DEMはSRTMと比較して,精度的にはそれほど違いはないだろう。(ただし,空間解像度の違いによって値が変わるので,厳密な比較は難しい。また,SRTMは実測された事後的な精度検証結果であることから,G-DEMのデータが実際に登場してから同じ方法で比較した上で論ずるべきであろう)。
SRTMの欠落域の問題については,G-DEMに分がありそうだ。SRTMの観測(というより合成開口レーダの観測)は,真下の観測ではなく,センサを横に向かせて観測している(SRTMの場合は進行方向の左側)。そのため,地形が急峻な場所では,遮蔽された向こう側が見えない,という場合があり得る。一方,G-DEMを作成するASTERの場合は,真下から見下ろしたデータと斜めのデータを用いるので,地形が急峻で遮蔽されてしまう可能性は少ない。
というわけで,G-DEMの最大のメリットは高緯度も取得できること,データの欠落が少ない,の2つである。反対に気になる点は,使用するデータの量や処理が膨大である点が挙げられる。
データの量や処理が膨大であることについては,大きな入れ物が用意されている。
産総研 Geo Grid
http://www.geogrid.org/
さて,話は変わるが,リモートセンシングで地形を観測すると言っているが,陸地の多くは樹木などの植生に覆われており,市街地では建築物に覆われているため,実際には地面が見えていない場合が多い。その場合,リモートセンシングで本当の地形(つまり地盤の標高値)を取得できるのか,という疑問が出てくるだろう。そして,答えは「No」である。現実には,地面にさらに上物である地物が含まれた値なのである。ただし,ほとんどの場所の地物高は10m~30m程度であるため,誤差に含まれてしまうことが多く,無視されているのである。研究レベルでは,こういうデータから樹木の高さを計測することが試みられている。30m程度の解像度で鉛直精度10m以下となると,地物高が無視できなくなる可能性がある。
最高気温更新40.9度 74年ぶり、埼玉と岐阜 (中国新聞・07/8/17)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200708170044.html
日本列島の猛暑は十六日も衰える気配を見せず、岐阜県多治見市で午後二時二十分に、埼玉県熊谷市では同二時四十二分に、それぞれ気温四○・九度を観測。国内の最高気温の記録を七十四年ぶりに更新した。これまでの記録は、一九三三(昭和八)年に山形市で観測された四○・八度。
埼玉県熊谷と岐阜県多治見で40.9度の最高気温を観測した。日日本記録更新ということで,マスコミ報道等でこの2つの地点は同列に扱われている。しかし,観測所としてはタイプが異なっていることに留意する必要があるのだ。
埼玉県熊谷は,人が常駐している地方気象台である。一方,岐阜県多治見はアメダス地点で無人観測である。そのため,観測頻度が異なるのである。地方気象台の場合は観測値は瞬間値を採用しているが,アメダスに関しては10分値なのである。以下に示すように,熊谷は42分であるが,多治見は20分ということで,瞬間値と10分値の違いが現れている。
埼玉県 熊谷 40.9度 (14:42)
岐阜県 多治見 40.9度 (14:20)
つまり,熊谷の観測は連続的に気温を観測し続け,最大値のところをピックアップして発表したことになる。そのため,アメダスの観測表にはこの40.9度は出てこない。一方,多治見は10分おきの観測頻度である。従って,断面的な値でたまたま40.9度を観測したと解釈することができる。
つまり,多治見において,熊谷のように連続的に観測していれば,40.9度以上の気温を観測していた可能性があるわけで,41度台となってたかもしれないのだ。
というわけで,同じ40.9度であっても,観測頻度が異なっていることを留意してもらいたい。さて,その観測頻度だが,今後は気温は10秒間隔で観測される体制になるようだ。
アメダス、初めて改良 気温10秒刻み、最大瞬間風速も (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/0813/TKY200708130303.html
「アメダス」として知られる地域気象観測システムが74年の観測開始以来、初めて改良される。現在は気温や風速を10分間隔で観測しているが、気温は10秒刻みになり、風速は常時観測して最大瞬間風速がわかるようになる。よりきめ細かな気象データがそろうことで、熱中症対策や突風監視が充実しそうだ。
10秒観測が可能で,きのうのような条件であれば,先に述べたように多治見では40.9度以上を観測していた可能性がある。
温暖化対策としての森林整備、「国や自治体が進めるべき」が79.6% 世論調査結果(EICネット)
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&word=&category=&serial=17236
内閣府が全国20歳以上の男女3,000人を対象に行った、「森林と生活に関する世論調査」結果が、平成19年8月13日までにまとまった。
この調査は、森林に期待する役割、森林や木材の利用、地球環境問題と森林について政府が取り組むべき方針--などに対する関心・意識を調べたもので、19年5月24日から6月3日にかけて、個別面接聴取方式で実施。有効回答は1,827人(60.9%)だった。
このうち、森林に期待する役割を聞いた質問(3つまでの複数回答可)では、「CO2吸収による温暖化防止(54.2%)」をあげた人が最も多く、「洪水などの災害防止(48.5%)」、「水資源を蓄える働き(43.8%)」、「空気をきれいにしたり、騒音をやわらげる働き(38.8%)」がこれに続いていた。
林野庁や環境省の宣伝効果があったのか,世論調査によると,森林の役割として二酸化炭素吸収が認知されたようだ。しかし,国内については,今後は二酸化炭素の吸収は望むほど効果が出るとは考えにくい。
樹木というのは,若年段階において一番生育が活発で幹が太くなる速度が速いのである。従って,それだけ炭素をたくさん固定するのである。また,意外と知らない人が多いのだが,樹木も生物であるため,人間のように呼吸しており,二酸化炭素を放出している。生育が活発な若年段階では,固定量と放出量を比較すると固定量の方が上回るので,吸収しているといえるのである。そして,高齢になるほど吸収量と呼吸量が同じとなる。
国内の人工林を見ると,1960年代前後に植栽した多くの樹木は,若年段階を通り越しており,二酸化炭素の収支は±0に近いのである。また,これ以上国内で森林面積を増やすことは難しい。従って,このままの森林の状態では,国民が望むような二酸化炭素固定効果は,今後それほど望めないのである。
国内で炭素固定効果を発揮するためには,森林を伐採して木材として使用し,そして植林するサイクルを確立する必要がある。近年は,海外へ輸出される木材の量が増えているらしく,林業が上向くことが期待される。また,最近ではバイオマス・エネルギーが注目されており,新たな材の使い道となる可能性がある。
これからの森林のあり方を考えるには,エネルギー政策,環境政策,林業政策など,包括的に考えていく必要がある。今回の世論調査が示すように,森林を地球環境保全としての側面としても理解があることを考えると,上記に示した包括的・総合的に森林のあるべき姿を議論し,新しい包括的な森林経営を確立する段階に来ていると考えられる。
GPS機能付き携帯電話では,写真を撮ると画像ファイルのExifにGPSの位置情報をつけてくれます。そこで,位置情報を付けた写真を,携帯メールから送信し,自分のサイトのGoogle Mapsにほぼリアルタイムで自動的にマッピングさせるスクリプトを作ってみました。
PHPはいろいろな機能が付いてまして,メールの送受信ができてしまいます(参考)。また,Exifの情報を抽出することが可能です(参考)。そこで,PHPを使ってメールを受信して写真を添付ファイルとして保存し,Exifの情報からGPSの位置情報を抽出し,テキストファイルに書き出すことにしました。また,PHPでは簡単な画像処理もできます。添付された画像は,サイズが大きい場合があるので,縮小させる処理も行うことにしました。
メールの受信部分については,レッツPHP!さんの写メールBBSのスクリプトの一部を利用させていただきました。ありがとうございます!
まず,下記URLにアクセスすると,サーバーサイドでメールを受信し,EXIF情報を抽出し,添付ファイルを保存し,テキストデータに書き出す作業を行います。
http://www.tagchan.net/photo_php/pop.php
そして,自動的に下記URLへ移動し,Google MapsにGPS情報を基にポイントがマッピングされます。また,リスト表示も可能となっています。このGoogle Mapsのスクリプトは,ホームページのトップで使っているものとほとんど同じです。
http://www.tagchan.net/photo_php/map.html
まだ試験的段階です。もう少し洗練させることができればと考えています。今後は,GeoRSSの形式で保存するなどの工夫をしたいと考えています。また,スクリプトは早い段階で公開したいと考えています。
※ 送ってみたい方がいましたら,メールアドレスを教えますので,ご連絡くださいませ。
地球は5ミリ小さかった! 精密測定で判明(産経新聞)
http://www.sankei.co.jp/culture/kagaku/070805/kgk070805000.htm
地球の大きさを精密に測定すると、赤道の直径が従来より約5.1ミリ小さいことが分かった。情報通信研究機構や国土地理院などが参加する国際機関が4日までに、電波望遠鏡や衛星利用測位システム(GPS)衛星などのデータを総合的に解析した成果を、「国際地球基準座標系(ITRF)」の最新版として3年ぶりに公表した。
地球の大きさから5.1ミリという値を考えると,ほとんど誤差の範囲ですね。ただ,厳密に考えると大陸プレートの移動によって不動な地点はないわけなので,そういうことも厳密に考慮して,正確な地球の形を考慮した座標系が,ITRFということなのだろうと思います。以下のサイトにITRFの説明がありますので,ご参考までにどうぞ。
参考:日本測地学会編「測地学テキスト ー 2-1-5-1.ITRF」
http://wwwsoc.nii.ac.jp/geod-soc/web-text/part2/2-1/2-1-5-1.html
こういうことを研究する分野は「測地学」と呼ばれる学問分野です。大雑把に言えば,地球の正確サイズを測る学問という感じでしょうか。あまり注目されない分野ですが,地球の正確な形状や大きさを測るということは,位置を正確に記述する測量へ繋がり,最終的には正確な地図の作成へ繋がります。また,上記の大陸プレートの移動と関連して,地殻変動や地震,火山とも密接に関連してくるわけで,我々とは全く関係の無い分野だとはいえないわけです。
そんな測地学を,わかりやすく説明した本が出ています。下記の本は,日本測地学会が出版した本で,リモートセンシングや地図などに興味ある人は,一読しておくことをお勧めします。雑学っぽいネタにもりそうですね。自分は数年前に購入して読んだのですが,もう一度読んでおこうと思います。
朝日新聞社 (2004/05/11)
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測地学から入る地球惑星科学の入門書
