2007年9月アーカイブ

インターネット地図空間上でのコミュニケーションが登場してきた。その例としては,だいぶ前に登場しているが,はてなわんわんワールドがある。そして,最近の例ではalisがある。一方で,地図空間ではないけど,現実世界に近い3次元仮想空間でのコミュニケーションが実現しており,セカンドライフが有名である。

mixiのようなウェブサイト形式ではないが,サイバー空間上に人物を置き,人と人がコミュニケーションを行う方法は,ソーシャルウェブの潮流なのだろう。このような,人と人がコミュニケーションをする媒体や場として,地図(地理情報)を活用することは非常に重要だと私は思っている。その理由を以下に示す。


・地理的に近接であれば,互いに同じ問題意識や属性を持っている可能性があり,そこでコミュニケーションをはじめるきっかけとなる可能性がある。Web2.0としてタグが重要であるのは周知の事実だが,そこにさらに地理的情報を付加すると,一層有益なコミュニケーションができる可能性がある。

・地理(空間)データを活用してコミュニケーションできる可能性がある。物事を空間的に捉え,それを基に議論したりする。それを仮想「地図」空間上で行うことで,効果的に行える可能性がある。要するにGISの分野で以前から言われてきたような,「地図コミュニケーション」である。


さらに,3次元での地理情報を用いることで,2次元以上に現実空間に近づくことが期待できるだろう。以上のようなことを考えると,理想は「Google Earthでセカンドライフの実現」なのかもしれない。

で,そんなことをここ最近考えていたら,こんな記事が。やはりGoogleもそういうことを考えているのだろうか。

グーグル、「Second Life」ライクな仮想世界を構築か?--米報道 (CNet)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20357086,00.htm

しばらく前から、CNET News.comではGoogleが仮想世界スペースに進出をもくろんでいるのではないかといううわさを耳にする。特にSecond Lifeのような既存の仮想世界に対する関心が高まっていることや、Google Earthの成功、Sketchup技術の買収などがその根拠になっているようだ。

しかし、真に活気のある仮想世界を実現するための鍵はユーザーが作成するコンテンツである。Sketchupなどのサービスを利用するユーザーが、あらかじめ作成された大量の3DコンテンツをGoogleの運営する仮想世界に簡単にインポートできるとしても、Second Lifeや、それよりはユーザー数が少ないThereが住人を集めたような新味のあるコンテンツにはならないだろう。

セカンドライフに比べて,現実世界との接点をとりやすいというメリットを生かし,仮想空間の地理情報と現実世界の間をうまく繋げる仕組みを考えるだけで,意外に広まるのではないかと思っている。

地図系の視点を持つ私としては,地理情報技術はソーシャルウェブのさらなる発展に貢献できると期待している。またもやGoogleか,という気がしないわけでは無いが,期待をこめて動向を見守りたいと思う。

全国で初(?)の裁判で衛星写真が証拠として採用され,判決に左右した模様。

楢葉町行政訴訟:許可範囲越えて町有地使用、NASA写真で違法確認--判決 /福島 (毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/fukushima/news/20070927ddlk07040432000c.html

楢葉町の建設会社が、許可範囲を越えて町有地を使用していたかを巡る行政訴訟の判決が25日、福島地裁であり、米航空宇宙局(NASA)の衛星写真が有力な証拠となり、土地の違法使用が一部認められた。

 「市民オンブズマン楢葉」の松本三郎代表(62)が町を相手取り提訴していた。町発注の下水道工事を請け負った町内の建設会社2社が03年9月~04年3月、町が許可した範囲を越え、同町北田の町有地を資材置き場などに使ったのに、町が相当の使用料を徴収しないのはおかしいとして、違法確認を求めた。

 原告側は、03年12月25日撮影のNASAの衛星写真を証拠として提出。許可地をはみ出して建設機材が置かれている様子が写っていたため、地裁の森高重久裁判長は判決で、原告側の主張を一部認め、違法な土地使用と判断した。

 原告側によると、通常の訴訟では国土地理院の航空写真を使うことが多いが、今回の現場を撮影したものがなく、「北朝鮮情勢が緊迫しているので、NASAならきっと撮っているだろう」と問い合わせたところ、写真の存在が判明。経費を含め約12万5000円で写真を購入したという。

2003年12月ころの撮影というのは,何のセンサーを使っているのだろうか。Landsat7?ASTER?ちなみに,ERSDACにアクセスして,樽葉町付近で2003年12月25日のASTERを検索してみたが,該当データは無かった。

航空写真の代替手段として衛星写真も使えるかも,と思いついただけでもうれしく思う。しかし,証拠は地上で自分たちで撮影しなかったのだろうか?

2000年前後に打ちあがられた商用高分解能衛星にSpace Imaging(後にOrbImageに吸収合併されてGeoEye)の「IKONOS」とDigitalGlobeの「QuickBird」があるが,これらの後継機が今後打ち上げ予定である。特に,DigitalGlobeは18日に「WorldView-I」を打ち上げ予定である。WorldView-Iの特設サイトが開設されている。

このWorldView-Iの打ち上げ背景としては,以下に紹介されている。

WorldView-I (eoPortal)
http://directory.eoportal.org/pres_WorldView1.html

In Oct. 2003, DigitalGlobe was awarded a sizeable contract by NGA (National Geospatial-Intelligence Agency) of Washington DC, formerly NIMA (National Imaging and Mapping Agency), to provide high-resolution imagery from the next-generation commercial imaging satellites. The NGA requirements call for imagery with a spatial resolution of 0.5 m panchromatic and 2 m MS (Multispectral) data. The contract award was made within NGA's NextView program, designed to give the US commercial imaging satellite operators the financing to build their satellites for high-resolution imaging.

NGAが,衛星を使用するために商用高解像度衛星の打ち上げに金銭的なサポートをするプログラムを立ち上げて,DigitalGlobeが落札したのである。落札できなかったSpace Imagingは,結果的にOrb Imageに吸収されてしまった(これは未確認情報)。


DigitalGlobeはGoogle Earthに画像を提供しているが,これに置き換わる可能性があるかというと,それはちょっと難しい。なぜなら,WorldView-Iはパンクロマティック画像(白黒)なのだ。特設サイトにもセンサーのスペックにそれが明記されている。カラーでないので,地図の背景画像として,この画像を利用する機会はなさそうだ。NGAがメインユーザなので仕方ない。

ただ,WorldView-IIが2008年後半に打ち上げ予定となっており,こちらはマルチスペクトルのようだ。

WorldView2 (Ball Aerospace)
http://www.ballaerospace.com/page.jsp?page=82

Ball Aerospace has been a key partner in meeting the increased demand for Earth imaging collection, and with WorldView-2’s ability to provide 8-band multispectral pictures at resolutions as sharp as 1.8 meters and panchromatic at half-meter, the aerospace company will further enhance its contributions to the geospatial information market.

2m以下の空間解像度で,8つの波長帯を観測するマルチスペクトル画像ということなので,こちらは研究的にも商用的にも注目を集めそうである。一方,GeoEyeについては,2007年中にはGeoEye-1が打ち上げ予定となっている。

GeoEye-1 (GeoEye)
http://www.geoeye.com/products/imagery/geoeye1/default.htm

センサスペックとしては,空間解像度はパンクロマティックが0.41mで,マルチスペクトルが1.64mとのこと。ただ,マルチスペクトルは8チャンネルはなく4チャンネルで,従来の波長帯のままである。

次世代の商用高分解能衛星は,DigitalGlobeが先に打ち上げるものの白黒で,GeoEyeはマルチスペクトルで先手を打つという形となる。さて,このライバル2社は今後どうなるものか。

50センチ解像度が当たり前となるのが必至なわけだが,日本の衛星の状況はどうだろうか。

「「かぐや」順調に飛行中」(松浦晋也のL/D)
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2007/09/post_711d.html

1998年から始まった情報収集衛星計画はこれまでに累積で5050億円を消費し、今もコンスタントに年間500億円あまりを使い続けている。毎年「かぐや」1機並の予算を着実に消費しているわけだ。
 なおかつ最初の光学衛星は公称解像度を達成できず、しかも何に使っているかは機密の壁の向こうである。

JAXAが次の中期計画の目玉に使用としてる防災衛星構想は、現状では、性能を達成できなかった情報収集衛星ほぼそのままの衛星を4機体制で打ち上げるという構想になっている。

もしかしたら,情報収集衛星の空間解像度は1mさえも達してない可能性がある。防災にだけに特化するのであれば,他の商用高分解能衛星画像との競争は気にする必要はないだろうが,一般ユーザにも販売されることを考えると,解像度50センチ時代には,残念ながら上記2社の製品にはかなわないだろう(既に現世代のQuickBirdやIKONOに大しても解像度的にはかなわないのではないか)。相当安く販売されれば話は別なのだが。

GPSが果物窃盗犯の逮捕に貢献したようです。

大田市場からグレープフルーツ盗む、GPSで御用 (日経ネット)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070913AT1G1301613092007.html

窃盗被害が相次いだことから、被害者の仲卸業者がグレープフルーツの箱に全地球測位システム(GPS)装置を忍ばせ、これを基に淀橋市場に移っているのを発見。通報を受けた同署が中村容疑者を特定した。

物流段階での窃盗のようです。この記事を読む限りは,GPSを箱にくっつけて,さらに発信機能を搭載していたということでしょうか。昔のアニメや映画に出てきそうな,発信機を忍ばせて,探知機(ドラゴンボールのドラゴンレーダみたいな)を基に追いかけるような場面を想定してしまいました。

物流のために,電子タグやGPSをつけることが模索されているようですが,GPSは物流の効率化だけでなく,窃盗対策にも有効ということなのでしょう。

台風0709は,着実に関東に接近中。台風はそれほど頻繁にやってくるものではないが,過去のデータを参照したいこともあるはず。特に,過去と同じ時期・同じコースの場合,現象や被害が似てくるので,どういう災害が発生する可能性があるのか,参考にできる。

というわけで,台風データベースというものがあると便利。

ウェザーニューズ、過去56年分の台風データベースを公開 - ニュース - nikkei BPnet
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz07q3/544250/

データベースでは台風の強さ、規模、進路、発生時期などを掲載する。発生時期別に検索することが可能で、最低気圧や最大風速、「日本上陸/通過のみ表示」といった条件で絞り込めば、現在の台風に似たものを抽出して表示できる。

というわけで,早速アクセスしてみた(こちら)。ウェザーニューズは全部Flashで動いているので,URLのリンクを貼ることができないのが良くない。ただ,インターフェイスがしっかりしているので,操作は誰でも使いやすい。


既に過去の台風の情報をインターネット上で検索できる。まずは,気象庁。

過去の台風資料 -気象庁
http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/index.html

台風の経路図と上陸数などの統計が掲載されている。また,過去の災害の事例が紹介されており(リンク),台風の事例も数多く掲載されている。数は限られるが,詳細に説明されている。

ちなみに,今回の台風0709と近いタイプなのが,台風0115である。同時多発テロが発生する朝に鎌倉に上陸した台風である。

他にも台風関連の情報があるのだが,注目は台風の進路予想の精度検証結果である。精度が向上していることが分かる。

次に,デジタル台風である。

デジタル台風:台風画像と台風情報
http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/

こちらは,「台風データベース」というコーナーが設けられており,詳細な検索が可能となっている。例えば,横浜地方気象台の150km以内を通った台風を検索できる(検索結果)。このデジタル台風は,いろいろな検索以外にもいろいろな機能があるので,また別の機会に詳しく取り扱いたいと思う。

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