前エントリーで,ALOS/PRISMの標高精度が目標の5mの精度に達しなかったことを紹介したが,多くの主要紙がこの問題を取り上げており,以下のような記事まで登場した。
観測衛星「だいち」の精度低下、「改良したい」と文科相 (読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080111ik01.htm
渡海文部科学相は11日、閣議終了後の記者会見で、宇宙航空研究開発機構の陸域観測衛星「だいち」の画像データの精度が想定より落ちている問題で、「当初目指していた精度が得られるように改良を加え、年度内をめどに調整していきたい。まだあきらめたわけではない」と話した。
まず,突っ込みを。精度は「低下」しているわけでも「落ちている」わけでもない。「低下」や「落ちている」というと,時間を経て精度が悪くなっていっている印象であるが,最初から精度が出ていないのである。もちろん,センサの劣化で精度が低下する可能性もあるが,この場合は最初から精度が出ていないと解釈する方が正しい。
また,改良を加えることについて言及しているが,どうやって精度を高めていくのだろうか。方法はいくつか考えられるが,画像上で正確な地理座標が分かっている場所を対応付ける方法がある。ただし,この報道されている6mは,地理座標の対応付けを行った上での結果なのか,判断できないため,なんともいえない。衛星プラットフォームにおける何らかの問題を解決して精度を高められる可能性はあるが,(私は専門ではないので分からないが),実際に衛星のところに行って対処することは不可能であるため,調整して精度が上げるための対策は限られるだろう。つまり,あまり期待できないと思われる。
一応,高さの検証をやっている(ネット上で見つけた)ペーパーを紹介。
- 水田ら(2005), 地理院時報, Vol.111
http://www.gsi.go.jp/REPORT/JIHO/vol111/2-3.pdf - Gruen and Wolf (2007), Proceedings of High Resolution Earth Imaging for Geospatial Information (ISPRS)
http://130.75.85.12/html/publikationen/2007/workshop/paper/wolff_gruen.pdf
海外のサイトでも,このALOSの精度の問題が取り上げられていた。この記事によると,国土地理院の人が精度が低いことについて言及しており,地理院のリークだったのだろうか。
Japanese satellite flops at map-making: official (Spacemart)
The 457.8-million-dollar "Daichi" satellite was sent into space to create detailed maps of remote parts of Japan, but the images have not been of sufficient quality, the government's Geographical Survey Institute said.
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: ALOS/PRISM(だいち)の標高精度の問題の続報
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.tagchan.net/cgi/mt/mt-tb.cgi/134

コメントする