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ALOS/PRISM(だいち),25000分の1地形図作成のための目標精度に達せず

ステレオ視することで,地表面の3次元座標を取得可能なALOS/PRISM (だいち)であるが,目標としていた標高値の精度に到達しなかったようだ。

550億円の陸域観測衛星、誤差やノイズで地図作れず(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080109it01.htm?from=top

全世界の2万5000分の1の地図(基本図)の作成を主目的とした宇宙航空研究開発機構の陸域観測衛星「だいち」の画像データが、予想以上の誤差やノイズ(乱れ)の影響で、基本図を単独で作るには精度不足であることが8日、明らかになった。

国土地理院は、この画像データを、基本図の修正・更新の際に使う構想だったが、現地測量を追加しなくてはならないため、約4300面ある日本の基本図のうち完成したのは硫黄島など52面にとどまっている。

 基本図は、すべての地図の原本。日本全土は高度6000メートルからの航空写真を使って作製しているが、道路建設など土地変化の情報を随時反映させなければならない。国土地理院はこのため、同衛星が2006年10月に運用を開始してから年間700面のペースで画像を利用する予定だった。

 航空写真に比べると、単価が数百~数十分の1と安い上、航空機を飛ばさなくても定期的に更新画像を撮影できるのが理由だ。

 日本の基本図作りの地形データは、誤差5メートル以下という高精度が求められる。しかし、同衛星の画像は、等高線を決める「高さ情報」の誤差の大半が6メートル前後に集中していた。宇宙機構によると、打ち上げ前は誤差5メートル以下を想定していたが、衛星の姿勢制御が完全にはできず、高さ情報に誤差が生じるという。

 さらに、画像のノイズがひどいこともわかった。衛星画像は地上送信時に圧縮されるが、撮影した地表面の様子が予想以上に多種多様だったため、元の画像データに戻すことができなかった。宇宙機構は「事前に地上試験を行ったが、見抜けなかった」としている。

上記の記事にある「誤差5メートル以下」という目標としている値は,ALOSサイエンスプログラムのサイトに掲載されていた。

ALOSの構想とその背景
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/sci/sci_jindex.htm

(1) 全球スケールでの地形図(空間データ基盤)の作成・更新を行う。 特に地形標高を精度5m以下、グリッド間隔にして10m程度で面的に計測する(ほぼ1:25,000地形図に対応)ことを目標とする。

ALOS/PRISMで作成した標高値の誤差が約6mだったらしく,5mという精度を達成しなかったのである。記事では「衛星の姿勢制御が完全にはできず」としている。姿勢制御に関するどの部分に原因があるのかかは分からないが,衛星プラットフォームの構造上の問題,GPSやスタートラッカーの精度の問題,衛星写真自身にぶれが含まれていた可能性などが考えられる。

この新聞記事のタイトルは言い過ぎである。5mを達成しなかったからといって,地図作成が全くできないということではない。また,この6mという誤差をどう捉えるのかが問題である。日本国内に限れば空中写真があるわけで,縮尺によるが厳密な精度が求められるため,要求精度を満たしたとしてもALOSが全てを取って替わることはなかっただろう。海外への展開が目的に含まれているのであるから,6mという誤差を許容できるかどうかは,海外の地図作成機関が判断すべきであり,それによって作れる作れないを決めるべきであろう(海外でのニーズがどれくらいあるか把握していないが)。

記事の言う画像のノイズについては,JPEG圧縮のことと推測される。ALOSでは,衛星プラットフォーム自身がJPEG圧縮し,地上へダウンリンクしている。例えば,一眼レフではRAW画像で撮影可能なのに,JPEGモードで撮影した,ということと同じである。JPEG画像であれば不可逆であるのは当然なので,「見抜けなかった」というJAXAのコメントはどういう意図があるのか良く分からない。このようなノイズは,判読する際に誤判読が発生する可能性があるが,当然のことながら地図が全く作れないわけではない。

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