2008年2月アーカイブ
2月はもうすぐ終わりとなり,そろそろ黄色い粉が気になる季節が到来した。黄色い粉は,花粉と黄砂である。黄砂情報は,環境省と気象庁から発表されているが,2008年バージョンにリニューアルしたようだ。
- 環境省-黄砂飛来情報 環境省のプレスリリースはこちら。上空にレーザ光線(ライダー)を当てて,黄砂の量を正確に推定するのが特徴である。ただし,中国については,当初公開予定だったが,国家機密ということで観測データは公開されないことに。
- 気象庁-黄砂情報
当初は日本、中国、韓国、モンゴルの4か国で観測されたデータを公開する計画だったが、中国が「気象は国家機密」としてデータ提供を拒否したため、中国の情報がないままでの運用開始になった。
公開サイト
http://soramame.taiki.go.jp/dss/kosa/
サイトを見ると分かるが,中国の観測点が無い。また,日本でもそれほど観測点があるわけではなく,12点である。それほど網羅的に観測しているとはいえない。なお,黄砂の量による影響は,上記ウェブサイトの「黄砂飛来量の凡例」を見ると分かりやすい。
予測については,CFORS呼ばれる黄砂分布をモデルによる計算結果で表示するようだ。2008年2月28日16時現在,表示されていない。おそらく,こちらが元のサイトであろう。
気象庁のプレスリリースはこちら。気象庁の場合は,目視での観測で視程を観測する。従って,環境省のような機材を使用して,花粉の量自体は計測してはいない。また,観測点は環境省よりは断然多い。
黄砂観測実況図
http://www.jma.go.jp/jp/kosa/index.html
環境省と同じく,モデルによるシミュレーションを行っており,地表面付近の黄砂濃度の濃度と,大気中の黄砂の総量の多さが分かる。
黄砂予測図
http://www.jma.go.jp/jp/kosafcst/index.html
メッシュの空間解像度は非常に粗そうだが,黄砂の到達具合が見やすくなっている。ただ,濃度が人間生活の中でどういう影響かを明確に示していないため,一般人が気をつける基準や目安がわからないのが欠点だろう。多少は参考となる基準を提示して欲しいと思う。
2つの黄砂情報サイトを紹介したが,次に様な違いを見出すことができる。
環境省:正確な黄砂の量を観測できるが,観測点が非常に少ない。
気象庁:観測点が多いが,実際の黄砂の量は観測していない。黄砂の予測図からは,黄砂の実際の量や濃度が読み取れないため,対策をとるための判断ができない。
前エントリーで,Google Static Maps APIを紹介したが,パラメータを打ち込むのが面倒なので,Javascriptを使って,画像URLを生成するスクリプトを作成した。
Google Static Maps APIの画像URL生成
http://www.tagchan.net/google_static_map.html
工夫した点としては,Google Maps APIのジーコーダーを使用した点が挙げられる。住所や駅名などから,緯度経度を取り出して,地図の中心とマーカーの座標としている。以下は,「富士山」として作成した例である。
今までのGoogle Maps APIは,ズームができたり移動がマウスでできたり,動的な地図だった。今回,パラメータを入力することで画像を出力する,Google Static Maps APIが登場した。Staticとは「静的」という意味であり,Javascriptは使わずにimgタグで貼り付けることができるので,携帯サイトなどで威力を発揮するだろう。また,地図を表示する場合に,店舗の地図を表示するケースなど,わざわざ動的な地図である必要が無い場合もあるだろう。そういう際には,Google Static Maps APIは便利な部分もありそうだ。
以下が出力例。パラメータの説明をしていく。
center=35.658127,139.684446
地図画像の中心座標。緯度,経度。
zoom=16
地図のズームレベル。0から19の範囲。数字が大きいほど大縮尺となる。
size=200x200
地図画像のサイズ。単位はピクセルである。
maptype=mobile
背景地図のタイプ。mobileとroadmapがある。
markers=35.658127,139.684446,bluea
マーカーの座標とアイコン。緯度,経度,マーカー色+アルファベット。
マーカー色は,blue,red,greenがある。そして,マーカー内に小文字のアルファベットをという文字を入れることができる。blueaは,青色マーカーに「a」というアルファベットを入れることになる。このマーカーの設定が無い場合は,デフォルトの赤色のマーカーとなる。
マーカーは,複数置くことも可能である。「|」で区切り,緯度,経度,マーカー色+アルファベットを追加することで複数にできる。
key=ABQIAAAANb5JuD4i3v_Isz_A_z4ipxTrwmVSgF6tOzG2piSiw3F-ORmacRQGqjoiQ55HzLvszowcXYUDT1mXwA APIのキー。もちろん,あらかじめ取得しておく必要がある。上記keyは当サイトのもの。
パラメータを入れるところは,昨年登場したGoogle Chart APIに近いと思われる。まだまだバリエーションは少ないが,今後は線や面も引けるようになるのではなかと思っている。
1月から2月にかけて,気象庁の気象観測関連のトラブルが3つ報じられた。3つのミスはそれぞれタイプが異なっているようだ。
気象庁の「地域気象観測システム(アメダス)」で、全国約千三百の観測点のうち、北海道から九州にかけての百十五地点に障害があり、一部で「時間雨量九〇〇ミリ超」など実際と懸け離れた降水量や日照時間を示していたことが二十九日、分かった。
問題のあった百十五地点はいずれも、昨年十二月から導入が進められている、最大瞬間風速などが観測できる次世代タイプ。観測機器の更新に伴うシステムトラブルとみられる。
同庁によると、二十八日午後五時半の時点から、コンピューターのシステム障害で観測不能になったため、バックアップシステムを稼働したところ、今度は降水量などに異常値が示され、自治体や防災機関、気象情報会社などに配信された。トラブルは、午後六時までに復旧した。
「アメダス115地点で異常 システム障害か 『時間雨量900ミリ超』」東京新聞 (2008年1月29日)
この記事だけでは原因がいまいちはっきりとしないが,新しいアメダスの更新に伴うトラブルらしい。115地点も誤表示されたというのがポイントであろう。読売新聞(リンク切れ)の記事によると,アメダスを収集するシステムの部分(おそらくアメダス・センター)で不具合が発生したようだ。
東京管区気象台は14日、福井県南越前町今庄に設置された「地域気象観測システム」(アメダス)で、風向風速計が南北逆に設置されていたため、昨年12月から約2カ月間にわたり、風向きも東西南北を逆に観測していたと発表した。
「アメダス、逆さまでした 風向き2カ月、逆に観測」共同通信(2008年2月14日)
観測機器の単純な設置ミスのようだ。
【2008年2月21日0時49分,追加】
東京管区気象台のサイトに情報が掲載されていました。
http://www.tokyo-jma.go.jp/sub_index/koho/hodo/20080214fukui.pdf
気象庁は19日、北海道小清水町の「地域気象観測システム」(アメダス)が、コンピューターのトラブルから1カ月間、風向きを東西逆に観測していたと発表した。
(中略)
気象庁は昨年から、最大瞬間風速などが計測できる次世代タイプのアメダスを順次導入している。今回のトラブルは、更新時のソフトウエアのインストールがうまくいかなかったのが原因だとしている。
「「西風」が「東風」に アメダス、また風向き逆」中日新聞(2008年2月18日)
唯一,気象庁ホームページの報道資料に掲載されたトラブルである。先の2つのトラブルは報道資料は存在していない。資料によると,観測所にあるコンピュータでの観測に関するソフトウェアのトラブルのようだ。
というわけで,3つのミスが続いたわけだが,それぞれにトラブルの背景が違っていることがわかった。1つ目と3つ目は新アメダスに関連するトラブルのようだが,1つ目はデータを集約するシステムのトラブル,3つ目は観測所でのシステムのトラブルである。2つ目は設置ミスである。
防災上,気象観測データの収集は迅速さが求められるため,集約するシステムを構築しているなど,比較的複雑なシステムとなっている(観測機器の設置ミスは論外)。なので,システムの不具合は発生する可能性はあるわけで,その辺は仕方ない部分はある。だが,なるべくトラブルは無くしていただきたいものだ。
京都議定書における森林吸収の枠組みについての解説が,日経エコノミーのサイトで紹介されている。一般向けに多少は分かりやすく説明されていると思う。
「森林吸収で3.8%削減」の中身とは――「マイナス6%」への具体像
http://eco.nikkei.co.jp/column/article.aspx?id=20080214c1000c1
京都議定書では、日本の6%の削減目標のうち3.8%を森林吸収で担うこととしています。ただし、国内のすべての森林が吸収源の対象となっているわけではなく、国際的な運用ルールでは「森林の持つ諸機能を持続的に発揮させるために、1990年以降、人の手を加えていること」がポイントとなっており、具体的には次の3つの行為が行われた森林を吸収源として算定することが認められています。
1) 新規植林:過去50年来森林がなかった土地に植林すること
2) 再植林:1990年時点で森林でなかった土地に植林すること
3) 森林経営:持続可能な方法で森林の多様な機能を十分に発揮するための一連の作業(森林の整備、管理、保全などの手入れ)を行うことこのうち、1と2は日本ではごくわずかであり、主体は3になります。このため、国では、間伐の積極的な推進等による健全な森林の整備、伐採規制などをしている保安林や自然公園の適切な管理・保全のほか、これらを進めるために必要な林業就業者の確保・育成、木材利用の推進、森林ボランティアや企業の方々など国民の幅広い森林づくり活動への参加を進めており、このことについては平成17年4月に閣議決定された「京都議定書目標達成計画」にも明記されています。
なお、3.8%を森林吸収で分担するとの目標達成のためには、例えば間伐については平成19~24年の6年間に330万ha実施することとしています。
「森林」と一括りにされているが,大部分は林業を行っているスギやヒノキなどの人工林のことを指している。これらの人工林で「間伐」を行うことで,京都議定書の定義上,森林経営を行っている人工林であるとみなされ,吸収源としてカウントされるのだ。この人工林の間伐の意義について考えてみたい。
まず,誤解を招きそうなのが,間伐したから二酸化炭素が吸収されると考えることだろう。しかし,間伐されなくても,人工林は二酸化炭素を吸収している。また,間伐したからと言って,吸収量が増加するかというと,それによる寄与は期待できないだろう(参考)。さらに,樹木自体は呼吸をしており,二酸化炭素を固定する一方で,二酸化炭素を放出している。そして,樹齢が増えるほど,吸収量と放出量は同じ量となっていくこと(参考)も,忘れてはならない。
結局のところ,地球温暖化問題全体として捉えて大気中の二酸化炭素を削減するという観点から見た場合,人工林の間伐は炭素吸収量を減少させることに直接的には寄与しない。京都議定書で認められた数字のために人工林を間伐し,間伐された人工林が森林経営された人工林とみなされて吸収量としてカウントできる,と解釈するのが正しい。
今後,間伐に多大な予算が投入される予定だが(参考),間伐した樹木(間伐材)を使うあてがなく,間伐した材をその場所に放置した場合(切り捨て間伐という),時間はかかるが分解されて大気に戻ってしまうわけで,大気中の二酸化炭素を削減する効果があるとはいえない。
今回の間伐を,大気中の二酸化炭素の濃度の増加,抑制,削減という観点から意義を考える場合は,間伐材で固定されている炭素をいかに大気中に戻さない方法で用いるかを考えることも重要である。また,間伐材をバイオマスエネルギーとして化石燃料の代替手段にすることを考えることも重要であろう。しかし,間伐材が今後大量に発生したとしても,それを利用する受け皿が現在の社会システムに十分あるとは考えにくい。また,バイオマスエネルギーにしても,現状ではコストがかかってしまう。
他のアプローチとしては,間伐する予定であっても木材生産を行う予定が無い場合は,強度に間伐して広葉樹を植えて混交林とし,長期的に天然林化してしまう方法がある。天然林化は,元森林総研の藤森氏が主張している。天然林化することで,長い期間を経て老齢林となると,炭素貯留(固定)量は安定的に多い状態を維持できる。また,最近良く耳にする森林の多面的な機能が発揮されることも期待できる。
大気中の二酸化炭素の濃度の増加,抑制,削減という観点からは,京都議定書のための間伐も重要だが,森林(特に人工林)のことを良く理解し,もっと長期的かつ広い視点を持って間伐の意義を考え,
適切な対策を講じる必要があるだろう。
地図にいろいろ書き込めるサービスがMapionで始まった。このようなサービスは,地図を使った新たな情報発信手段としておもしろいのではないだろうか。
地図ガキ
http://labs.mapion.co.jp/chizugaki/
背景となる地図は,白地図かMapionで公開されている地図が選べる。そして,選択した地図に,四角形,三角形,円などの図形が描画でき,もちろん線も描画ができる。文字も入れることが可能だ。そして,完成したらブログに貼り付けができる。たったそれだけである。
地図上で図形や線を書き込んだ場合は,形状の修正はできないようだ。ただ,消しゴムで消すことができ,まさしく消しゴムで消したようになる。消しゴムツールで四角形を消した例が以下の図。
さらに,おもしろいのが,地図を拡大した場合,描画した図形や線も一緒に拡大されるのだ。上の図の消しゴムで消したところを拡大した状態が以下の図となる。
図形や線が描画されると,パワーポイントで描くような図形や線などのオブジェクトとは違い,画像になってしまうようだ。でないと,消しゴムツールで部分的に消すことができないだろう。
画像という方法も良いが,図形や線をオブジェクトとして残るような方法も考えてもらえるとうれしい。また,各図形や線などは,IllustratorやPhotoshopのように,レイヤー構造をもたせることができれば面白いのではないか。
てなわけで,道案内図みたいなものを作ってみた。これは私が下北沢駅から大学まで歩く道を示したものである。
Google Mapsには,マイマップという機能があって,地図上に線,点,面を描画することが可能である。ただし,Google Mapsのマイマップの方は,線,点,面を「地図データとして描画する」アプローチである。地図ガキの方は,地図データとして考えずに,ただ「地図に書き込む」という考え方である。
地図から情報発信する手軽さを考えると,「地図ガキ」のアプローチの方が有効な場合も多そうだ。
最近当ブログで取り上げている気象衛星だが,これのブログパーツを作成してみた。天気関係のブログパーツだと,天気予報や降雨レーダなどが登場している(リンク)。しかし,気象衛星関係は見当たらなかった。特に役に立つわけではないが,見た目も多少はおもしろいので,使う人がいてもおかしくないとは思っている。
実は2月に入ってから,当ウェブサイトの右側の下に表示させてあるのが,気象衛星画像ブログパーツである。一応,別ページも用意した(リンク)。画像は,東大生研にあるWebGMSを利用している。また,画像を切り替えるようにしてあり,いつ撮影された画像なのかも分かるようになっている。
そして,貼り付けるコードは以下の通り。なお,コード内に「window.onload」を使っているため,bodyタグでonloadを使っている場合は,Latestをクリックしないと画像が表示されないと思われるので注意が必要である。
<script type="text/javascript" src="http://www.tagchan.net/mtsat.js"></script>
<script type="text/javascript">
window.onload = function(){getmtsatJSON(0);}
</script>
<div style="background-color:azure;border-style:solid;border-color:#125ebc;border-width:1px;font-size:11px;width:170px;padding:5px;">
<div align=center><b>気象衛星ひまわり<br>MTSAT画像</b><br>
<input type="button" value="<-" onClick="prev()">
<input type="button" value="Latest" onClick="getmtsatJSON(0)">
<input type="button" value="->" onClick="next()">
<div id="mtsat_time"></div>
<div id="img_src"></div>
<br>by ERI/IIS/U-Tokyo/Japan</div></div>
以前のエントリーで,次期気象衛星についてコメントしたが,その後,気象庁で開催された次期静止気象衛星について検討する懇親会の資料がアップされた。
「静止気象衛星に関する懇談会について」気象庁
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/satellite/kondan/kondan_index.html
「資料1-1 静止気象衛星の現状と今後の展望」には,次期気象衛星のスペックが示されている。それによると,可視光が3チャンネル(バンド),近赤外が3チャンネル(バンド),赤外が10チャンネル(バンド)を予定しているらしい。また,空間解像度は可視が500m,近赤外+赤外が2000mとなる予定としている。また,10分間隔の観測頻度となる予定である。このバンド構成と観測頻度は,陸域観測に有効であろう。
このほかに,資料を見ていて気になった点がある。それは,気象庁は気象衛星の運用を民間に任せたいと思っているようなのだ。
「資料1-2 今後の静止気象衛星の整備・運用に向けた課題」において,3つの論点が挙げられている。それは以下の通りとなる。
- 静止気象観測ミッションと他のミッションの相乗りの可能性は?
- 気象衛星観測の高機能化により、気象業務への利用以外に、新たな利用は見込まれるか?
- 気象衛星の整備・運用において民間活力を活用することは可能か、その場合どのような方法が適当か?
まず,1つ目の「相乗り」の可能性については,資料1-2のスライド2枚目に説明されている。そのなかで「複数の機能を搭載した衛星は,個別に衛星を打ち上げるより経済的」としている。要するに,別の機能を搭載させたい機関を探し,予算を分担させて打ち上げて,コストを抑えるということである。
2つ目の「新たな利用」については,従来より高頻度で,高波長分解能,高空間分解能になることで新たな利王が見込める,としている。
3つ目の「民間活力」については,7枚目のスライドを見れば一目瞭然。気象庁はデータを受け取るだけで,衛星の運用を外に任せたいと考えているようなのだ。
これらの論点を総合すると,
「われわれ気象庁はお金がないから,次期気象衛星をできるだけお金をかけない形とし,打ち上げと運用をできるだけ民間に任せていきたいです。センサーがよくなるわけだから,民間で新たな利用用途が見込めるでしょ?」
と受け取ることができる。
衛星に複数のミッションを搭載(相乗り)する点については,多くのセンサーを搭載して1年も経過せずに失敗した,ADEOS(みどり)やADEOS2(みどり2号)の失敗が参考になる。1つのミスで複数のミッションが影響しないよう,比較的小型な衛星を打ち上げる考え方が出てきているが,その辺は気象庁はどのように考えているのだろうか。メリットとデメリットがあるはずなので,その辺を検討して提示すべきである。
利用用途については,研究用途向けに非常に興味深いデータが取得できると期待できるが,民間がこれを使って儲けることは不可能だろう。MODISやAVHRRのような,次期気象衛星の空間解像度とほぼ同等な500m~1000m程度の空間解像度の地球観測衛星が,商業的に利益を上げている事例を聞いたことがない。観測頻度が高いことは魅力的ではあるが,現実的には空間解像度が数メートル以下のデータでしか収益を上げていない。おそらく,それでも利益は出ていないのではないか。
「民間活力」については,これでは民間任せにしてユーザになります,と言っているようなものだ。防災上重要な位置づけであり,国民からの認知度が極めて高い気象衛星を,民間任せの運用にして良いものか。しかも,気象衛星による観測は日本だけでなく国際な枠組みがあって,データが全世界に流通しているのだ。
上記URLに掲載された議事概要によると,出席した委員からかなり厳しい意見が出たことが伺える。委員から出たコメントで,注目すべきコメントを3つ挙げておく。基本的に,以下のコメント(意見)に賛成である。
静止気象衛星は社会基盤の核となるものであり、国民の安全・安心に直結するものである。さらに、国際的に果たす役割も大きい。このように我が国にとって重要なものであるから、国の責務として次期静止気象衛星の整備に取り組んでいく必要がある。
総合科学技術会議で取りまとめられた「地球観測の推進戦略」においても、根幹的な観測は国が責任を持って行うべきこととなっている。国でしかできない部分、民間に任せることのできる部分を明確にしていく必要がある。
気象業務の目的以外での衛星データの新たな利用を探る場合、新たに得られる観測データ・情報に魅力がないと使いたいとは思われない。このため、新たな観測データ・情報によってどのようなことができるのか、具体的な事例などにより分かり易く示すことが必要である。
気象庁の予算が少なく,気象衛星の業務に関する予算の割合が多いのは良く分かっている。しかし,今回の気象庁が提案している次期気象衛星の方向性は,ちょっと無理があると思う。
気象庁が出している気象情報がXML化へ向けて動き出した。
気象庁は2008年2月1日、天気予報や地震情報などの気象情報を、XMLデータとして提供するために仕様を策定すると発表した。今年3月末からドラフトを一般に順次公開する。防災情報の活用を促進することによって、災害による被害を少なくする狙いである。
XMLのタグとして仕様で定義するのは、「気象警報・注意報」「台風情報」「津波警報・注意報」「緊急地震速報」「地震情報」「噴火警報・予報」「天気予報」「週間天気予報」。これまでは、提供データのフォーマットが統一されてなく、独自フォーマットのものもあった。XMLで統一することで、データをシステムで一元的に扱うのが容易になる。策定には、XMLコンソーシアムが協力している。
仕様のドラフトを公開した後、1年間かけて精査する。正式な仕様策定は、2009年度になる模様。気象庁は仕様策定後、XMLデータを民間の気象事業者や報道機関をはじめ、一般に提供する。
気象庁が発表したプレスリリースはこちらに公開されている。
気象情報のXML化については,2004年に気象庁がXML化を進める予定であることを発表したが,XML形式で提供されている形跡は全く無い。気象業務支援センターでも,XMLで提供しているデータはごく一部である(データの配信形式)。
[追記 2008.2.13]
表を良く見ると,XMLで配信されているデータがありました。文章を修正しました。
今回は,XMLコンソーシアムが関係するということで,多少は進展が期待できるかもしれない。そこで,XML化に際して要望を2つ提示したい。
- 全ての気象情報をXML化
- 配信するXMLデータは無料
実は,XMLに近い形として,既にRSSによる気象情報が配信されている。例えば,ライブドアやgooなどである。なので,それの後追いの形では意味が無い。やるのであれば,全部の気象情報をXML化すべきである。予報だけでなく,統計情報についても,全てXML化するべきである。
これまでの気象情報の配信は,気象業務センターで一括して行っており,基本は有料である。われわれが気象情報を無料で手に入れられるのは,気象業務支援センターから配信されたデータを,気象事業者が加工してWeb上で提供しているからである。ライブドア,goo,Yahoo Japanの気象情報は,全て日本気象協会が情報提供している。
XML配信となる場合は,民間気象会社を介することなく,インターネットによってダイレクトに気象情報にアクセスできる可能性を有している。従って,気象業務法上,気象庁の情報を配信することが定められている「民間気象業務支援センター」からデータを取得することになる。
報道機関や気象事業者に対しては,専用線などで通信の信頼性を保つことは非常に重要であるため,有料で然るべきであろう。しかし,それ以外の用途であれば,そこまでの通信の堅牢性や信頼性は重視されないはずであり,コストはあまりかからない。従って,気象業務支援センターは,XML化されたデータを,誰でも無料で簡単にインターネットからアクセスできる形にするべきである。
無料にしないのであれば,従来の気象事業者が使うだけであるはずだから,わざわざXML化する必要はない。既に電文形式が定められているわけで,民間が投資せざるを得ない対応のための開発費用や,XML化にかかる税金の無駄である。
XML化し,簡単かつ低コストで気象庁の提供する基本的な気象情報が収集できるようになれば,付加価値を付けた気象情報を提供することに注力できるようになる。そして,高付加価値な気象情報で収益を上げられる可能性があり,気象業界にとってもユーザにとってもハッピーとなる(もちろん,そう簡単にはいかないだろう)。とにかく,気象情報の全データのXML化とデータの無料化を希望したい。
