2008年7月アーカイブ
7月は7冊読んだ。iPhoneの影響で,読書タイムである電車の移動時間が削られたが,なんとか7冊読んだ。
1.
日本林業調査会
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議定書やポスト京都に関連した森林の話題がまとめられており,関係者は必読の書である。
2.
国土地理院OBである著者の,測量とか地図に詳しい人間の観点からの,軽快な話。話の守備範囲は神話から最近の話まで,幅広い。
3.
ソフトバンククリエイティブ
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理想主義と現実主義
CO2と地球温暖化の問題を豊富なデータで分析した本
経済学的に真っ当な主張
データとその集計方法の脆弱性に迫る本温暖化問題に一辺倒な世の中にとって,こういう本は重要。温暖化対策にかけるコストで,もっと救える命があり,豊かにできるものもある。
4.
行政改革によって,意外と面積の大きい国有林がどうなるのか。森林政策系の学者たちの緊急提言。
5.
築地書館
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日本の森林について学ぶ人の必読書
森林から見た日本の歴史
昔々の森の話。これだけ人口密度の高い日本で,森林資源が枯渇してこなかったのか。古代から近代までの日本における森林が,どのように扱われきたのか,一次資料を基に明らかにした研究。
6.
講談社
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これからのウェブの将来性に期待させられる本です!Web3.0の方向性。
7.
実業之日本社
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地理学習の発展版いろいろな地理関連の雑学系のより集め。
米国のロックバンドであるレディオヘッドのプロモーションビデオ(以下PV)に,レーザーを使った最新の測量技術が使用されているようだ。
レディオヘッドが「ライトもカメラも使わない」実写ビデオ公開 (IT media)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/15/news026.html
通常のビデオ撮影にはカメラとライトを使うものだが、このビデオクリップでは、レーザー光線による3Dスキャンを行い、収集した3Dデータからビデオ化した。
米Velodyneのレーザースキャナ装置により、64本のレーザー光線が1分間に900回、360度にわたってスキャンし、そのデータを米Geometric Informaticsが3D化した。
ビデオはGoogleの以下のサイトにて,PVとメイキングビデオの2本の動画が公開されている。
RA DIOHEA_D / HOU SE OF_C ARDS
http://code.google.com/creative/radiohead/
このようなレーザースキャナー装置は,主に斜面や構造物の詳細な3次元形状を測量するために用いられる。地上型レーザースキャナ,または地上型レーザ測量と呼ばれる。地上だけでなく,航空機に搭載するレーザースキャナーもある(私は航空機のほうのレーザスキャナを用いた研究を行っている)。
仕組みとしては,レーザースキャナ装置から,1秒間に数千発のレーザーがパルスとなって周辺にたくさん照射される。そのパルスが地物に反射して装置まで戻ってくる時間を計測し,時間から遠近を把握する。そして,各パルスがどの角度や方向に照射されたのかを把握しておく。そうすることで,装置からレーザーが照射可能な範囲において,詳細な3次元形状が再現できるのだ。
さらに,ずっと装置からパルスを照射し続けてデータを取得し,動画のように見せているところが非常に興味深い。特にPVの最初のあたりで顔の形状が表現されているところである。測量では,同じ対象を長時間にわたってパルスを照射することあまりないだろう。というのも,動くものは測量の対象とはならないからである。ほかにも,装置自身をぶれさせて移動させて取得した形状を乱れさせたり,水の膜を用意してパルスを反射させなくしたりと,測量での用途では考えられない使い方をして遊んでいることも,とても興味深い。
レーザースキャナー装置の用途して主流になるとは考えられないが,こういう使い方を着想する柔軟さや,目の付け所の良さに感心する次第である。
最も国民の認知度の高い衛星である気象衛星「ひまわり」の後継機の予算を確保する見通しが立っていないらしい。
気象衛星が消滅の危機、「ひまわり」後継機に予算集まらず(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080705-OYT1T00454.htm
気象庁が6~8年後に打ち上げを予定している気象衛星「ひまわり」後継機2基の調達の見通しが立たず、30年以上も日本の空を宇宙から見守ってきた気象衛星が消えてしまうかもしれない事態に直面している。
現行2基の予算の7割を分担した国土交通省航空局が計画から外れることになったため、管理運用を含め1基400億円とされる予算の確保が気象庁だけでは難しいためだ。
以前,気象庁が考えている次期気象衛星についてエントリを書いた。やや批判気味に書いたのだが,民間の力を利用するという考えだったので,気象庁には予算が無いということは良くわかっていた。そして,本当に予算が確保できていないようだ。
以下に,いくつかの雑感を列挙する。
(1) 気象衛星は最も役に立った地球観測衛星である
一機400億円かかるとか,予算が取れる取れないは別にして,これまでの地球観測衛星の中で気象衛星はも最も役に立ってきた地球観測衛星の1つである。日本では,気象衛星の打ち上げ前は台風の接近の予想は富士山レーダー(1999年廃止)に頼るしかなかったが,気象衛星によって,はるか南の台風の発生をいち早く察知し,台風の進路の予測の精度が向上した。防災面での貢献は多大なものがある。
それだけでなく,数値予報へのインプットデータとしての貢献,気象現象の解釈にも使用される。世界的には,世界気象機関(WMO)が実施している世界気象監視計画へ参加しており,国際貢献にもなっている。
(2) 極軌道衛星は気象衛星の代替にはならない
最近は,だいち(ALOS)や,高分解能衛星写真を目にする機会が多くなっている。しかし,このような画像を撮影する衛星は極軌道である。気象衛星は静止軌道であるため,観測方法が全く異なっている。極軌道の場合は,地球の回りを回っているため,気象衛星のように一時間や30分に1度のような高頻度の撮影はできない。
(3) このタイミングには何か裏がある?
国の予算のことは詳しく知らないが,All aboutによると,来年度の予算の動きが始まるのが5月くらいのようだ。
概算要求、補正予算、復活折衝・・専門用語を解説! 予算についての基礎知識 (All about)
http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20010904/index.htm
各省庁の各局の各「課」が、来年欲しい予算をまとめ、各局の予算関係を仕切る「総務課」に要求します。これが5月末くらいまで。総務課はこれをもとに局の予算要求をまとめ、各省庁の予算関係を仕切る「官房予算関係課(会計課)」に提出します。これは6月末くらいまで。これをもとに、各省庁が予算の要求を財務省にするのが8月末から9月あたまくらいまでです(これを概算要求といいます)。
この記事によると,5月から6月にかけては省庁内で予算要求が決まってくる時期である。気象庁は外局なので国土交通省との予算の関係がよくわからないが,国土交通省内での折衝か,財務省での折衝でうまくいっていないのだろうか。そのため,リークによる先制攻撃で予算獲得を有利に進める狙いがあるのかもしれない。洞爺湖サミットの主要テーマの1つに気候変動があるので,この記事が出るタイミングが良すぎる。
まさか,気象衛星が必要ないと考えている役人はいないと思う(そうあってほしい)ので,何か裏があるような気がしている。
(4) とにかく気象庁はこれから正念場
過去のひまわりの打ち上げの経緯を見ると,技術試験衛星であったり,運輸多目的衛星だったりと,現業では衛星画像自体は使われているが,単独で現業を目的とした気象衛星の打ち上げについては,行われていないのだ。
ひまわり8号に迫る危機 (MTSAT打ち上げを追う!)
http://mtsat.air-nifty.com/news/2008/02/8_0464.html
* ひまわり1号~2号:科学技術試験衛星だったため、科学技術庁が経費を100%負担(気象庁ゼロ%)
* ひまわり3号~5号:科学技術衛星だっため、科学技術庁が40-25%負担(気象庁60-75%)
* ひまわり6号~7号:運輸多目的衛星だったため、航空局が70%負担(気象庁30%)
今後の衛星は,国土交通省航空局が計画から外れ,技術試験衛星でもないということである。つまり,現業として気象庁が継続性を持って気象衛星を打ち上げる時期が訪れた,という解釈ができる。いろいろと水面下の攻防がありそうだが,とにかく気象庁は正念場を迎えているといえる。
関連記事
気象庁が考える次期気象衛星
7月になって地球観測衛星の話題が多く上がってきている。米国政府の商用高分解能衛星買取や,ウェザーニューズの小型地球観測衛星計画など。そして,JAXAから地球観測衛星だいち(ALOS)の(ほぼ)後継の話が出てきた。
JAXA:「災害監視衛星」打ち上げへ 風水害に対応 (毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20080705k0000m040083000c.html
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4日、大規模災害の被災状況を迅速に把握するため、2012年度に「災害監視衛星」を打ち上げる計画を、文部科学省宇宙開発委員会の部会で表明した。
JAXAの構想によると、可視光や赤外線などの光学センサーを搭載した光学衛星と、曇天や夜間でも観測できるレーダー衛星のペアで構成。日本に多い風水害に対応するため、悪天候でも観測できるレーダー衛星を最初に打ち上げる。
レーダー衛星の地上分解能は1~3メートルで、現在、災害時の観測に使われている地球観測衛星「だいち」のレーダーの数倍細かな物まで観測できる。また、データ処理速度も向上させ、受信から情報提供までの時間も現在の3時間から1時間以内に早める。
開発費は、地上の受信設備なども含め約292億円を見込んでいる。
2機の運用で,合成開口レーダ,光学の順に打ち上げるようだ。だいちが行っている,被災地域の撮影&データ提供が実績として評価されているのだろうか。だいちの成果については,JAXAのサイトで以下のような資料がある。
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の成果
http://www.jaxa.jp/press/2008/07/20080701_sac_daichi_j.html
災害と言っても平常時が多いわけで,ALOSの後継機としてこの手の高解像度衛星画像が継続的にうちげられることは重要である。無事に打ち上げが認められることを期待したい。
ただし,別の衛星については,継続性が絶たれるピンチとなっている。それは次のエントリーで。
関連記事
気象情報会社ウェザーニューズが小型地球観測衛星打ち上げ計画を発表
商用地球観測衛星を軍用のスパイ衛星として買い上げを検討 (アメリカ)
最大手の気象情報会社であるウェザーニューズが,小型衛星を打ち上げる計画を発表した。温室効果ガスや海氷を観測するという興味深い計画である。
世界初!サポーターとともに実現する衛星 (ウェザーニューズ プレスリリース)
http://weathernews.com/jp/c/press/2008/080703.html
気候変動や地球温暖化に対する取り組みのひとつとして、超小型感測衛星「WNI衛星(仮称)」を2010年に打ち上げ、温暖化の原因となる温室効果ガスや、温暖化によって減少し続けている北極海の海氷などを企業や一般サポーターとともに感測するプロジェクトを開始します。本プロジェクトは、東京大学、千葉大学、アクセルスペース(※2)とともに研究・開発を進めており、従来の衛星では成し得なかった超小型衛星によるデータ感測を目指します。極域の画像を撮影し海氷を解析するとともに、衛星と世界各地に設置した感測機の間でのレーザー光の減衰を評価することで温室効果ガスを感測する斬新な方法を試みます。
興味深い理由としては,一般企業が計画する地球観測衛星であること,小型衛星であること,温室効果ガスの計測方法,参加型であること,が挙げられる。
(1) 一般企業が計画する地球観測衛星であり,衛星のみで儲けようと考えていない(?)ところ
地球観測衛星は,宇宙機関が打ち上げる場合と,一般企業が衛星写真の販売用として打ち上げる衛星,の2種類がある。前者だとNASAのLandsat,NASAと経産省のASTER等があるが,JAXAのだいち(ALOS)もこのカテゴリに入る。後者としては,GeoeyeのIKONOSやDigitalGlobeのQuickBirdやWorldView-1がある。プレスリリースを見る限りでは,観測データそのもので収益を得ようという雰囲気は伝わってこない。衛星のみで収益を得ようとしてないのであれば,それは低コストの小型衛星だからこそである。
(2) 小型衛星であること
小型衛星であることで,JAXAやNASAが打ち上げる衛星よりもはるかに低コストである。そうなると,もちろん失敗する可能性も高いかもしれない。ただ,失敗しても金銭的な損失は軽くて済むことになる。
また,プロジェクトにかかわる大学と企業に注目したい。特に,東大の中須賀研究室がかかわっている。中須賀教授は,小型衛星の打ち上げおよび運用の第一人者である。つまり,それなりにノウハウを持ったところとウェザーニューズは組んだことになり,衛星のプロジェクトを0からはじめる場合と比較して,開発は短期間で済み,成功の可能性も高いだろう。
(3) 温室効果ガスの計測方法
従来の地球観測衛星では,網羅的に地表面または大気を観測するのが普通である。しかし,この小型衛星では,観測のためには地上に機器を設置する必要があるらしい。この方法の原理がわからないので,精度がどのくらい出るのかが未知数である。しかし明らかなことは,地球温暖化の温室効果ガスの増加を議論するためには,網羅的な観測が必要不可欠であるため,機器の数と機器の分布が重要となる。ただ,低コストでそれなりの精度で温室効果ガスが計測可能というのであれば,従来の地上観測の点数と比べれば多くなるため,それはそれで有効な手段である。
(4) 参加型
温室効果ガスの計測のためには地上に機器を設置する必要があることを述べたが,これには機器の設置に賛同する人が大勢必要であることは言うまでもない。そこを企業・学校・一般サポーターによる「参加型」とすることで,機器の数を稼ぐ計画のようだ。参加者は,もちろん機器のコストがゼロに近いことが望ましいだろう。
地球観測衛星の計測に参加型を組み合わせるというのは,はじめてのアプローチであろう。トップダウンの衛星による観測と,ボトムアップの計測を繋ぐ新しい試みといえる。
まとめ
今までの地球観測衛星は,トップダウン的で最大公約数な機能を持った衛星が多かった。しかし,低コストな小型衛星が主流になれば,特定の目的のために必要な地球観測衛星が計画され,運用される可能性が高くなる。そうなると,リモートセンシングの分野は次のステージに進むことができるのではないだろうか。
なんと,スパイ衛星は軍内で開発,打ち上げ,運用を一貫するのかと思いきや,商用の衛星を買ってスパイ衛星としてしまう計画があるらしい。アメリカでの話しだが。
米国防総省、民間偵察衛星を軍用のスパイ衛星として買い上げを検討(Technobahn)
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200807011848&page=2
米国防総省が民間偵察衛星を買取り、政府専用のスパイ衛星として運用する方向で最終調整入りをしたことが1日までに明らかとなった。
(中略)
運用に伴う障害なども多く発生する状況となっており、多数の衛星網を維持するためには軍用のスパイ衛星並みの高解像度を持つに至ってきた民間の衛星を買い上げる方が安上がりと判断した模様だ。
民間から買い上げることで,自前のときと比べてインテリジェンスのパフォーマンスが落ちなのであれば,買い上げることはかまわないと思う。買い上げた場合,オペレーションは委託された民間が行うのだろうか...。
途中まで民間向けに運用されていて,運用の途中で軍( or 政府)所有になって,民間が使用できなくなる可能性はないのだろうか。民間の商用高分解能衛星画像を提供する企業は,世界的に見ても片手の指で数える程度しかない。それなりに研究や民間が活用している。それが軍の所有となって,入手機会が失われてしまうおそれは無いのだろうか。
以前,gooやYahoo Japanが昭和30年代の地図や空中写真を公開して話題となった。今回,横浜市が昭和30年代の1/3000地形図をkml形式での公開を始めた。
横浜市三千分一地形図(昭和30年代)
http://www.city.yokohama.jp/me/machi/kikaku/cityplan/gis/3000-30s.html
昭和30年代を中心に(1954(昭和29)年から1965(昭和40)年)、三千分一地形図が新たに作成されました。この昭和30年代の三千分一地形図は、空中写真測量により作成され、縮尺は同じ3000分の1ですが、東西3,000m、南北2,000mの図郭で、当時の横浜市域を90図葉でカバーしています。
Google Earthを起動して見てみたが,1/3000という大縮尺であることから,建物の輪郭まで表現されており,とても詳細な地図であることが分かる。
昭和30年から一番変化が大きそうなみなとみらい地区を表示してみた。
画像真ん中あたりの白い建物がパシフィコ横浜である。このあたりは,昭和30年代は埋め立てられておらず,空白となっている。つまり海だった。また,パシフィコ横浜の南東にある島は,赤レンガ付近は存在しているが,新港パーク付近(地図)はまだ埋め立てられていなかったようだ。
さて,ちょっと細かいところに注目していこう。この地図は,上記引用によると写真測量に基づいて作成したと書いている。従って,この地図自体の位置精度は高いと予想される。しかし,Google Earthの航空写真とは厳密には重なっていないように見える。これは,地図自体の投影法の違いが原因である。
おそらく,この1/3000地形図は平面直角座標系によって投影されていると考えられる。この投影法は歪みを小さく抑えられることが可能である。一方,Google Earthは等緯度経度の投影である。この投影法では,高緯度ほど地図上の面積は大きく見えてしまうタイプである。なので,基本的に投影法が違うため,たとえ1点どこかで正確にあわせても,ほかの場所でずれが生じてしまうのだ。厳密には正確な幾何補正を実行する必要があるが,そこまで重ね合わせを行う必要はないのかな...。
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Yahoo! Japanによる昭和30年代の地図の閲覧サービス
goo地図に昭和38年の空中写真が登場
明治時代の「迅速測図」がウェブで公開
東京23区を撮影した終戦直後の米軍撮影空中写真が登場







