米国のロックバンドであるレディオヘッドのプロモーションビデオ(以下PV)に,レーザーを使った最新の測量技術が使用されているようだ。
レディオヘッドが「ライトもカメラも使わない」実写ビデオ公開 (IT media)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/15/news026.html
通常のビデオ撮影にはカメラとライトを使うものだが、このビデオクリップでは、レーザー光線による3Dスキャンを行い、収集した3Dデータからビデオ化した。 米Velodyneのレーザースキャナ装置により、64本のレーザー光線が1分間に900回、360度にわたってスキャンし、そのデータを米Geometric Informaticsが3D化した。
ビデオはGoogleの以下のサイトにて,PVとメイキングビデオの2本の動画が公開されている。
RA DIOHEA_D / HOU SE OF_C ARDS
http://code.google.com/creative/radiohead/
このようなレーザースキャナー装置は,主に斜面や構造物の詳細な3次元形状を測量するために用いられる。地上型レーザースキャナ,または地上型レーザ測量と呼ばれる。地上だけでなく,航空機に搭載するレーザースキャナーもある(私は航空機のほうのレーザスキャナを用いた研究を行っている)。
仕組みとしては,レーザースキャナ装置から,1秒間に数千発のレーザーがパルスとなって周辺にたくさん照射される。そのパルスが地物に反射して装置まで戻ってくる時間を計測し,時間から遠近を把握する。そして,各パルスがどの角度や方向に照射されたのかを把握しておく。そうすることで,装置からレーザーが照射可能な範囲において,詳細な3次元形状が再現できるのだ。
さらに,ずっと装置からパルスを照射し続けてデータを取得し,動画のように見せているところが非常に興味深い。特にPVの最初のあたりで顔の形状が表現されているところである。測量では,同じ対象を長時間にわたってパルスを照射することあまりないだろう。というのも,動くものは測量の対象とはならないからである。ほかにも,装置自身をぶれさせて移動させて取得した形状を乱れさせたり,水の膜を用意してパルスを反射させなくしたりと,測量での用途では考えられない使い方をして遊んでいることも,とても興味深い。
レーザースキャナー装置の用途して主流になるとは考えられないが,こういう使い方を着想する柔軟さや,目の付け所の良さに感心する次第である。
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