2009年5月アーカイブ

これまでのエントリーでは、Quantum GISを使って地図画像に位置情報を与え、Google Earthに表示させた。今回は応用編として、自然災害の被害範囲を地図化したハザードマップを重ねてみることにしよう。

ハザードマップは市町村ごとに公開している。もちろん、作っていない場合や公開していない場合もある。まず、お住まいの市町村のホームページに公開されているか確認してみよう。私は現在、流山市南流山駅あたりに住んでいるので、流山市で探してみたところ、洪水ハザードマップが公開されていることがわかった。

流山市洪水ハザードマップ
http://www.city.nagareyama.chiba.jp/section/kasen/hazardmap/index.html

PDFで公開されている場合が多く、今までの方法を行う場合は、画像化する必要がある。Irfanviewでは、プラグインをインストールするとPDFを画像ファイルとして保存できる。

保存した画像をこれまで紹介してきた方法で位置情報を与える。問題はどの投影法なのかという点だが、建物の区画が明確に含まれているので、1/2500都市計画図であると判断し、世界測地系第9系とした。イメージオーバーレイまで完成した写真を以下に示す。

bv.jpg

濃い青色は、江戸川が氾濫した場合に数メートル浸水する可能性があると記載されている。ちなみに、南流山駅は2.5mから5mが浸水可能性があるとのこと。そうなると、江戸川を渡って地下に入るつくばエクスプレスは、水没して不通になることは容易に想像できる。次に、少し拡大してみよう。

bv2.jpg

地形を強調表示している。黄色のあたりは0.5m以下か、浸水しないと予想されている。その場所は、地形がやや高まっていることがわかる。このように、地形と予想される被害の対応関係も理解することができる。

ハザードマップは役所のウェブサイトで公開されている場合が多い。自分の住んでいる場所はどのような自然災害が起こりうるのか、調べてみるのも良いだろう。今回は、洪水ハザードマップとしてが、地震に関するハザードマップも公開されている場合があるので、同じ方法で重ねてみても良いだろう。そうすることで、自分がどれくらい自然災害による被害を受けるリスクがあるのか、想像できるのではないだろうか。

さらに重要なのが、ハザードマップを用いて自分がどのようにこのような自然災害リスクを回避するべきか、ということを考えることである。今回のような洪水の場合は、被害が小さいと予想される場所はなぜそのようになっているのかを、Google Earthの3次元表現によって明確に理解できたわけだが、それによって江戸川が氾濫した場合に逃げる場所を容易に想定することができるようになる。さらに、避難所などの災害時に役に立ちそうな情報が地図上にレイヤーとしてプロットされていれば、避難のための想定が容易にできるようになるだろう。

こういうハザードマップが、Google Earthとかウェブ上の地図で容易に表示できるような仕組ができれば、防災にも少しは役に立つうだろうと思うのである。

だいぶ前のエントリーになってしまったが、Quantum GISを使って、画像に位置情報を与え、それを投影変換する方法を紹介した。今回は、投影変換した地図画像をGoogle Earthに重ねてみたい。

前提として、地図画像が等緯度経度に変換されている必要がある(前回までのエントリ参照)。前回、25000分の1地形図を等緯度経度の投影法に変換したので、これをそのまま利用する。まずは、この投影変換した画像の情報を見てみよう、gdalinfoコマンドを以下のように実行する。

gdalinfo <前回出力した等緯度経度の画像ファイル>

すると、以下のように出力される。

Driver: GTiff/GeoTIFF
Files: test3.tif
Size is 10241, 6803
Coordinate System is:
GEOGCS["Marshall Islands 1960",
DATUM["Marshall_Islands_1960",
SPHEROID["Hough 1960",6378270,296.9999999999916,
AUTHORITY["EPSG","7053"]],
AUTHORITY["EPSG","6732"]],
PRIMEM["Greenwich",0],
UNIT["degree",0.0174532925199433],
AUTHORITY["EPSG","4732"]]
Origin = (139.863881043749930,35.933958579062747)
Pixel Size = (0.000016353913445,-0.000016353913445)
Metadata:
AREA_OR_POINT=Area
Image Structure Metadata:
INTERLEAVE=BAND
Corner Coordinates:
Upper Left ( 139.8638810, 35.9339586) (139d51'49.97"E, 35d56'2.25"N)
Lower Left ( 139.8638810, 35.8227029) (139d51'49.97"E, 35d49'21.73"N)
Upper Right ( 140.0313615, 35.9339586) (140d 1'52.90"E, 35d56'2.25"N)
Lower Right ( 140.0313615, 35.8227029) (140d 1'52.90"E, 35d49'21.73"N)
Center ( 139.9476213, 35.8783307) (139d56'51.44"E, 35d52'41.99"N)

もう少し文字列が続くが、この文字列のCorner Coordinatesが重要なのである。Upper Left、Lower Left、Upper Right、Lower Rightの値が、地図画像の四隅の緯度経度をあらわしている。この情報が重要となる。以下はUpper Leftを示す。

Upper Left ( 139.8638810, 35.9339586) (139d51'49.97"E, 35d56'2.25"N)

Upper Leftは左上ということであり、 ( 139.8638810, 35.9339586)は経度、緯度の10進数表示であり、 (139d51'49.97"E, 35d56'2.25"N)は経度、緯度の度分秒表示となっている。

次にGoogle Earthにうつる。上記出力画像は、JPEGにした方が良い。TIFFやPNGはうまく表示されないことがあったので。さて、Google Earthを起動し、追加>イメージオーバーレイを選ぶ。そして、リンクの部分でJPEG画像を選ぶようにする。そして場所タブをクリックしする。そうすると、東西南北それぞれに緯度または経度が入力できるようになる。

tab.jpg

表示に沿って、北にはgdalinfoで表示させたUpper LeftまたはUpper Rightの緯度を入れる。ここで注意すべきことは、度分秒表記で入力することである。gdalinfoでは、度分秒表記を35d56'2.25"Nとしているが、Google Earthは35°56'2.25"Nとしている。違いがお分かりだろうか。これは、度にあたるdと°が違うのだ。なので、Google Earthに入力した後に、すぐにdを°に変換してやる必要があるのだ。そして、南はLower LeftまたはLower Rightの緯度を入力する。西にはLower LeftまたはUpper Leftの経度を入力し、東にはLower RightまたはUpper Rightの経度を入力する。そしてOKをクリックすると、Google Earth上には、航空写真とぴったりと重なるように、地図がオーバーレイできているはずである。

overlay.jpg

次は応用編ということで、ハザードマップのオーバーレイを行ってみたいと思う。