2009年10月アーカイブ

突発的にTwitterでリアルタイム生中継(いわゆる、tsudaる)をやってみた。中継したイベントは、日本災害情報学会大会記念講演「懸念される巨大地震と予知の現状」(阿部勝征 東大名誉教授)。これは、一般の方も申し込めば無料で参加できる講演会だった。

この講演会の直前まで生中継をするつもりではなく、Twitterによるリアルタイム生中継の方法を調べておかなかったため、ハッシュタグをつけ忘れてしまった。

今回のリアルタイム生中継の感想だが、講演者の言葉は前後のコンテキストで語られているため、1つのポストの内容が一人歩きする可能性があると感じた。この点は、引用する人は注意が必要だろう。

-- 以下、twitterタイムライン--

地震防災講演会「懸念される巨大地震と予知の現状」 東京大学名誉教授 阿部勝征氏 posted at 13:31:51

阿部氏:地震予知のための3条件「前兆の存在、前兆の観測、前兆であることの判断」posted at 13:46:40

阿部氏:阪神大震災の前兆は1500報告されている。しかし、疑問があるものが多い。たとえば、ラジオの雑音、赤い満月。posted at 13:49:22

阿倍氏:あとから考えると前兆だったと思ったものは「事後予知」である。しかし、起こる前に前兆から判断することが重要。posted at 13:51:04

阿倍氏:現状は客観的に前兆であると認識する物差しは持っていない。posted at 13:51:35

阿部氏:従って、地震予知は困難である。posted at 13:51:50

阿倍氏:想定東海地震の発生は多くの科学者は認めているが、いつなのかは現時点では言えないので、「いつ起きてもおかしくない」という表現になる。posted at 13:52:57

阿倍氏:想定東海地震は、東南海と南海地震と連動しておきるだろうといわれている。posted at 13:54:32

阿倍氏:想定東海地震が単独で起きるのか、連動するのかは、現時点では研究段階であり、結論は出ていない。posted at 13:55:04

阿部氏:過去、10万回くらい起きているが、過去4回くらいしかわかっていない(江戸時代以降)。どういうパターンなのかはわからない。posted at 13:56:28

阿部氏:愛知県、静岡県は密な観測網があり、判定会が設置された。今から30年前。posted at 13:57:01

阿部氏:想定東海地震の判定会がある根拠は、マグニチュード8クラスという巨大地震だからである。活断層の直下型はマグニチュード7クラス。しかも静岡県の直下で起きる可能性あり、しかも、観測しやすく、理論的には、前兆のマグニチュード5クラスのすべり減少が起きるといわれているからである。posted at 13:58:54

阿部氏:従って、想定東海地震を除くすべての地震は、予知できないということになる。posted at 13:59:57

阿倍氏:判定会が前兆をとらえて黒白の判定するのは無理、ということで1996年に判定会長は辞任した。posted at 14:01:33

阿部氏:気象庁が出せる情報は2つ(二段情報)。異常が現れたという情報(観測情報)と、次は総理大臣が出てきて警戒宣言を出す。しかし、警戒宣言の前に準備情報が欲しいという要望があったが、その当時の科学的知見では出すことができなかった。posted at 14:03:45

阿倍氏:アンケートによると、静岡県の4人のうち3人は予知できないだろうと考えていた。posted at 14:04:55

阿部氏:そのあと、行政・研究・報道で議論してきたが、地震学が研究が進展してきた。それは、「ゆっくりとした滑り現象」である。posted at 14:06:13

阿倍氏:滑り現象をとらえれば、予知できるかもしれないという成果が出てきた。そのため、ひずみ計を用いて検出しようという方向に動いた。2003年から。posted at 14:07:03

阿部氏:漠然とした「前兆現象をとらえる」から、ひずみの計測に特化するという報告となった。posted at 14:07:59

阿部氏:すべりの進行によって、3段階ある。観測情報、注意情報(2004年から)、予知情報(総理大臣の警戒宣言)。posted at 14:09:12

阿倍氏:ようやく、注意情報を出せる段階となったわけである。posted at 14:09:34

阿部氏:2009年8月11日の駿河湾の地震について。(ここからやっとスライド使用)posted at 14:10:08

阿部氏:ポケットベル(メール?)に、判定会のための所在確認メールが来た。メールには「*** 本番 ***」が入っていた。今までは、「***訓練***」だった。posted at 14:11:05

<注意>無料で参加できる講演会の内容を流しています。内容に関する事実関係は、ご自分で確認ください。posted at 14:12:55

阿部氏:(震源分布の地図を見せ、併せて、断面図を見せる)posted at 14:14:49

阿部氏:プレートの沈み込みによる地震ではないことがわかった。posted at 14:15:12

阿部氏:静岡県のひすみ計が変化し、その変化分が想定東海地震の前兆すべりではないのかという課題が残った。posted at 14:16:54

阿部氏:前兆すべりかどうかわからないので、気象庁は「観測情報」を出した。これははじめて。posted at 14:17:18

阿部氏:ひずみの変化がおさまってきて、普段の状態に戻った。そのため、気象庁は11時過ぎに観測情報(3回目)を出して、「東海地震に結び付くものではない」と発表した。posted at 14:18:33

阿部氏:このように、科学的根拠に基づいた判断が行われたのである。posted at 14:18:56

阿部氏:こんかいの出来事で、2つの課題が出てきた。posted at 14:19:09

阿部氏:普段使わない情報が出たことで、「観測情報」とはいったいなんだ?と思った人が多かった。posted at 14:19:46

阿部氏:誰が啓発活動をするのか?とはいえ、普段使わない情報についての周知が大事である。posted at 14:20:09

阿部氏:2つ目の課題。想定東海地震が発生した後は大津波が発生する可能性が高いが、沿岸の人々はすぐには逃げないというアンケート結果が出ている。posted at 14:21:46

阿部氏:想定東海地震では、数分で大津波が来ることを周知する必要がある。posted at 14:22:15

阿部氏:東海、南海、東南海地震について。posted at 14:23:57

阿部氏:慶長、宝永、安政は3つの地震が連動した。しかし、昭和の地震は、南海、東南海は起きたが、東海地震が起きていない。posted at 14:24:52

阿部氏:3つの地震の前後では、内陸で地震が多く起きている傾向がある。posted at 14:25:45

阿部氏:阪神淡路大震災によって、新たな活動期に入ったと考えている科学者もいる。posted at 14:26:21

阿部氏:南海、東南海は、海域がメインなので、ひずみを捉えることができないため、予知は難しいと考えられる。posted at 14:28:23

阿部氏:(南海、東南海地震で予測される津波の分布図を見せながら)、2m以上の津波が数分でくる。海岸付近の木造建物を大破させる津波が発生する。posted at 14:31:24

阿部氏:中央防災会議の被害想定では、3つが連動した場合など、6通りの被害想定をおこなっている。posted at 14:32:12

阿部氏:3つの地震が同時におきると、死者は28300人、全壊建物が96万棟。posted at 14:33:01

阿部氏:東南海、南海地震の被害を半減することを、地震防災戦略と名付けて目指している。posted at 14:34:23

阿部氏:そのためのポイントは、事業継続計画の策定、建物の耐震化、初期消火率の向上の3つである。posted at 14:35:04

阿部氏:事業継続計画(BCP)の策定は、政治・行政・経済の中枢への被害に対して。posted at 14:36:28

阿部氏:建物の耐震化は、膨大な被害量の軽減のため。posted at 14:36:50

阿部氏:地震防災戦略のフォローアップを行っている。しかし、耐震化はほとんど進んでいないのが現状である。posted at 14:37:41

阿部氏:緊急地震速報について。posted at 14:38:12

阿部氏:緊急地震速報は、地震を起きた後にただちに情報を伝えるため、予知とは異なる。posted at 14:39:39

阿部氏:想定東海地震南端で地震が発生したら、東京まで47秒ある。posted at 14:40:18

阿部氏:しかし、直下の場合は難しい。 posted at 14:40:38

阿部氏:緊急地震速報によって、対応できるのは数秒から数十秒である。しかし、あらかじめ訓練しておくことで役に立つ場合もある。 posted at 14:41:27

阿部氏:2009年8月11日の駿河湾の地震では、緊急地震速報はおおむね良好な正確さだった。 posted at 14:42:37

講演会終了。 posted at 14:46:10

久々にマスメディアの記事に反応してみる。光学センサによる人工衛星の画像の問題点を報じた記事である。こういう記事が出てきたのははじめてではないだろうか。

不法投棄人工衛星で監  視界不良(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/news/20091022-OYT8T01274.htm

後を絶たない廃棄物の不法投棄に対し、人工衛星から撮影した写真で投棄現場をキャッチしようという試みが今年度、各地の県民局で続いている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)から購入した写真をもとに各県民局で分析し、山間部など地上パトロールの盲点になりやすい場所への投棄を発見する狙い。ただ、衛星写真の限界もあり、成果はまだ見えてこないようだ。

(中略)

しかし、これまでに発見に至った投棄現場はゼロ。県環境整備課によると「衛星が県上空を通る時に雲がかかっていると、場所によっては地表が見えない」。さらに「衛星通過は年に8度。年4回の写真購入はあくまで予定」という。

 淡路県民局でも調査員2人が分析。投棄ごみを特定できるほど鮮明でなく、環境課は「廃棄物処理場の位置や過去に投棄があった場所など、データを蓄積しながら試行錯誤中」とする。調査員も、衛星写真とは別に、投棄の可能性がある場所を見定めて歩くことが多く、上空監視の威力が表れるまでにはまだ時間がかかりそうだ。

人工衛星の問題点として、この記事からは1)画像の解像度の問題、2)1年間に限られた回数しか撮影できない問題、3)雲がかかって見えない場合がある問題、が挙げられている。実務で使う上での問題点が網羅されているといえる。

1)画像の解像度の問題についてだが、だいちの解像度は2.5mとはいえ、これは白黒画像のみの解像度である。カラー画像の場合は10mの解像度である。擬似的に2.5mのカラー画像を作成することは可能だが、不法投棄の規模にもよるが、経験的にも判読するのが難しいケースも多い。

2)1年間に限られた回数しか撮影されない問題についてだが、年に8度というのは、ほぼ真上を通る回数である。衛星センサ(場合によっては衛星自体)を傾けることが可能なため、実はずっと多い回数の撮影が可能である。災害時などの緊急撮影の場合は、だいちでは2日以内に撮影するようにすることが可能である。しかし、2日以内というのは衛星には負担がかかり、他の撮影スケジュールとの兼ね合いとなるので、そう頻度高く撮影することは難しいだろう。

3)の雲の問題についてだが、結局は晴天率次第で、特に快晴率次第である。冬の太平洋側は晴れていることが多いので、撮影可能なケースは多いが、雲が多い梅雨から秋前のシーズンはチャンスが少ない。運の部分も大きい。2)との関連で、撮影回数が多くなれば、それだけ雲の影響を受けない日に撮影できるチャンスはある。

これらの問題を解決するためには、ひとつの人工衛星の画像データを使うことに固執しないことである。つまり、目的に応じて、解像度や時期が適した、様々な人工衛星画像を入手し、利用することが重要である。現状は、処理やコストの問題など、様々な課題があるが、人工衛星の画像を実務で使えるデータとするためには、このような利用イメージを容易に実現できるかにかかっているのではないだろうか。

最新の写真測量技術を使って、建物の3次元モデルを参加型で作成する試みがGoogleからはじまったので試してみた。豆腐のような壁面が無い3次元モデルではなく、壁面付きの3次元モデルが簡単に作成できる。

Googleビルディングメーカーでは、斜め写真などの大量の航空写真(空中写真)を使い、その写真から建物の3次元構造(輪郭線)がどのようになっているのかを、マウスを使って教えてあげるだけである。これらの航空写真を撮影したカメラは、どこでどの向きで撮影したのかは撮影時点で計測しているので、複数の写真で、特定の建物がどういう輪郭線であるのかをインプットすることで、建物の輪郭線が現実世界の3次元地理座標と対応をとることが可能となる。それによって、3次元モデルが作成可能となる。

以下が、建物の輪郭線が写真でどのように表現されているのかを示している様子である。直方体だけでなく、屋根のような形状との組み合わせも可能である。

zu1.png

このシステムでは、6枚から8枚くらいの航空写真を利用しているが、写真の枚数が多くなればなるほど、その3次元モデルの位置や高さの情報の誤差が少なくなる(もちろん、ユーザ次第で精度は変わるが、致命的なミスは減る)。また、斜め写真ということで、建物壁面の画像を切り出して、3次元モデルに貼り付けることが可能となる点が大きい。通常の地図作成の場合は、2枚の写真による立体視なので、壁面が写っていない場合も多いが、斜め写真を使うことで、その問題は解決する。

以下が、完成した3次元モデルである。かなりいい加減に作ったが、それっぽい表現になっていることがわかる。

zu2.png

斜め写真を複数撮影し、写真測量を行う技術としては、アメリカのピクトメトリー社という航空測量会社が国際航業と提携したことが知られている(リンク)。Googleがこの企業の技術を用いたかどうかは不明だが、この方法と大差無いだろう。

これにより、コストと時間をかけて正確な3次元モデルを作るアプローチ(従来型)と、質は劣るが大量にそれっぽい3次元モデルをユーザが作るアプローチ(参加型)の2種類によって3次元モデルが作成可能となったわけである。2つのアプローチを併用しつつ、広範囲で3次元の地球がサイバースペースで再現できるように、うまく進めて欲しいものである。

日本全国の地震動マップを推定して結果を公開するシステム「地震動マップ即時推定システム(QuiQuake: Quick estimation system for earthQuake map triggered by observed records)」が公開された。(個人的に)注目すべきは、WMSで配信していることである。専門家が配信するこのような地理空間情報を、WMS配信することで、複数のソフトウェアによってユーザが動的に表示して、他のデータと重ね合わせることが可能となる。

ウェブサイトの概要によると、データの種類は2つあり、震動による最大地動速度(PGV: Peak Ground Velocity)と計測震度がある。また、データはGeotiffでも公開している。データは、KMLで公開されているが、KMLからWMSを使ってGoogle Earthで表示することが可能である。しかし、WMSはGoogle Earthのみで閲覧するわけではないので、WMSのURLを調べてみた。

2009年10月18日時点でこのサービスで最新の地震のKMLをダウンロードしてみる。KMLをテキストエディタで開くと50行目に以下のようなURLがある。

http://carteb.geogrid.org/mapserv/qqm?LAYERS=PGV_20091011101200&TRANSPARENT=true&FORMAT=image%2Fpng%3B%20mode%3D24bit&SRS=EPSG%3A4326&SERVICE=WMS&VERSION=1.1.1&REQUEST=GetMap&STYLES=&EXCEPTIONS=application%2Fvnd.ogc.se_inimage&WIDTH=1024&HEIGHT=1024&

「LAYERS=PGV_20091011101200」が、データのIDにあたり、2009年10月11日10時12分の地震ということをあらわす。この長いURLがWMSのURLであり、Quantum GISでも表示可能である。以前のブログで紹介した方法で、Quantum GISで表示してみた。凡例はこちら

図1.png

2つのマップを並べたが、同じエリアを切り出したものである。左側はGeography Network JapanでWMS配信している数値地図25000である。場所は、根室半島付近である。震源は、これより南東にあるのだが、必ずしも震源からの距離によって揺れが大きくなるわけではなく、地形によって変化する。地形から判断すると、湿地と推測される箇所が揺れやすくなっている。このように、地形による地震動の違いも判別できるデータである。ただし、WMSではPGVは見ることができたた、計測震度のデータは公開されていなかった。ぜひとも計測震度もWMSで配信して欲しいと思う。

上記のURLは、個別の地震だった。次に、リストから地震を選ぶようにしてみよう。以下のWMSのURLを入れて見る。

http://carteb.geogrid.org/mapserv/qqm?

すると、現時点で1996年以降の4992個の地震の地図がリスト表示されて、選ぶことができるようになっている。日付で選べるようになっており、大きな地震の日付と時間を調べておけば、その地震の地震動のマップが表示できる。以下のマップは、2009年8月11日早朝の最大震度6弱の地震の最大地動速度マップである。

図2.png

自分の住んでいる地域と他の地域の最大地動速度を比較してみると、自分の住んでいる場所の揺れやすさが見えてくるかもしれない。