ハイチ地震の全容が次第に明らかになってきている。それと同時に、衛星観測によるデータが出てきている。1月14日夜の時点で確認できているのが、日本のJAXAのALOS(だいち)、アメリカの商用衛星Geoeyeの画像である。色々な面で違いが分かりやすいので紹介する。
1. ALOS(だいち)
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるハイチ地震にともなう緊急観測
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/img_up/jdis_av2_haiti_100114.htm
一部の拡大画像が紹介されている。2時期の画像の比較から、被害が起きたところは白くなっているということらしい。上記のデータが国際災害チャーターへ利用されている。
国際災害チャーター
http://www.disasterscharter.org/activation_details
衛星写真地図が公開されている。ただし、高解像度版の画像は公開されていないらしい。
だいちは、AVNIR-2の10m解像度による観測である。ポインティング角度が-26度なので、直下視しか撮影できないPRISM(白黒画像だが2.5m解像度と高解像度)との同時撮影はできない。そのため、擬似的に高解像度の衛星画像(パンシャープン画像)が作成できない。
また、被害が起きたところは白くなっているということだが、ポインティング角度が大きいことと(反射角度)、比季節が異なる点(太陽高度角)から、白イコール被害箇所という解釈は慎重になる必要があるかもしれない。ただし、一般的には倒壊箇所は白っぽくなるといわれている(屋根が崩壊せずに倒壊した場合は、白っぽくならないため、判読が難しい場合がある)。
2. Geoeye
Haiti imagery layer now available
http://google-latlong.blogspot.com/2010/01/haiti-imagery-layer-now-available.html
以前からGeoeyeとGoogleは連携が密である。それを利用して、GoogleがGeoeyeの衛星画像が閲覧できるKMLファイルを公開した。このファイルをGoogle Earthに表示させ、被災前の高解像度衛星画像との比較もできるようになっている。
この写真の解像度は、画像の圧縮が影響していて判断できないが、1mから数mのオーダーの解像度ではないだろうか。撮影範囲はかなり広い。判読してみると、建物ごとに倒壊の度合いが分かる。しかし、上から見ているために、崩壊しているのか判別しづらい部分もある。
3.考察
JAXAのだいちは、国際チャーターで一番早く画像を提供したが、画像ファイルであり、しかも解像度なりの詳細さをもった閲覧ができない。一方、GoogleとGeoeyeでは、Geoeyeが撮影した衛星写真をGoogle Earthという世界的に有名なソフトウェアにより、地理情報として、その写真が持つ解像度なりの表示を実現し、世界中の人が被災状況を見ることができる機会を提供した。
だいちとGeoeyeには衛星センサとしての差は歴然としている。これはGeoeyeの方が新しいわけで仕方ない。とはいえ、衛星画像の品質が全く同じだったと仮定しても、どちらが使える衛星写真を提供しているといえるだろうか?
個人の考えであるが、災害等の緊急時においては、だいちの画像は、圧縮せずに地図と重なる形式(つまり地理空間情報)で公開するべきである。つまり、以前から当Blogで取り上げているようなWMS(Web Mapping Service)による公開を行うべきである。そうすることで、衛星画像にアクセスできる人が増え、衛星画像が役に立つデータとなる可能性がある。なお、WMS形式はGoogle Earthにも表示できる。
誰がユーザーかによって、公開方法は異なるだろう。しかし、衛星画像は地図であり、たくさんの人と共有すべきデータに近い。これからは、衛星センサのみを見るのではなく、どう衛星画像を使われるのかを考え、現在の情報技術に対応した衛星画像の情報流通のデザインを考えていく必要があるだろう。
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