書評: 2008年4月アーカイブ
地図や地名のことをテーマにした本を世に送り出す第一人者である今尾恵介氏の本「地名の社会学」が出たので,早速購入してみた。ちなみに,Amazonのお勧め機能のおかげで,この本の存在を知ることができた。Amazonに感謝する次第である。
この本では,これまでの今尾氏の本でみられたように,地名に関するトリビア的な話や小ネタが満載である。よく調べたなあと関心してしまう内容がほとんどである。第5章の「駅名を分析する」では,駅名は旧地名がかなり残っていることを知ることができた。個人的には,いつも通過している小田急線の鶴川駅が,「鶴見川」の省略形だということは知らなかった。
地名の由来は,各所で非常にオリジナリティーがある。それが時代を経て,社会制度や政治的な影響を受けて,消滅・拡大・変化した過程が,各章のどのトピックについても,詳細に調べられている。そして,場所にそぐわない地名が各地に誕生し,オリジナリティのある地名が消滅することを,筆者が憂いている。しかし,筆者がここまでこだわって地名の変化を詳細に調べる意義は何だろうか。
その理由は,この本の最後の最後に登場する。それが本エントリのタイトルである,「地名は過去への道標」である。このことばを本文で言及した後,筆者は次のように述べている。
われわれの先祖たちは日本中の至る所の土地を舞台に開墾して米や芋を作り,木を伐り,獣を追い,神を祀り,またある時は戦い,さまざまな活動を続けてきた。しかし,それらの一つひとつの活動は地名という見出しを付けることによって初めて「歴史」と認定され得るのである。その見出しが失われた時,無数に積み重ねられたこれらの活動は,現在と繋がる手がかりを失ってしまう。
(本文253ページ)
上の引用した文章の内容は,本を読んでいるうちに,薄々感じてくるのだが,最後にこの一文で「そうだよね。」と,納得させられるわけである。私の意見としては,上の引用のような主張を第1章で行うべきだったのではないかと思う。最初に筆者の問題意識を共有できていれば,鶴川が鶴見川だったような内容も,単なるネタではなく,読者の捉え方が違ってくるのではないかと思うのだ。
筆者の問題意識が共有できると,自分の住んでいる所の旧地名はどうだったのか,知りたくなるのではないだろうか。しかし,現状では旧地形を簡単に調べる方法はない。過去の地名をデータベース化するなど,過去の地名を調べやすい環境を整備することの必要性を感じるのではないかと思う。この場合,残念ながら過去の空中写真を眺めるだけでは不十分である。古地図を公開する意義はそこにあるのだと思う。
今月は8冊読んだ。週2冊読むペースである。
1.
中央公論社
売り上げランキング: 32218

台湾の歴史を客観的に描いた必読の書
公正さに疑問の残る本
2.
日刊工業新聞社
売り上げランキング: 238480

ハンディな辞書としても使えます
オールラウンド
3.
アスキー
売り上げランキング: 922

ゆるやかな開国宣言。
学生にも読んでほしい一冊
印象的なタイトルの意味するところは・・・
価値ある問題提起
今の「日本」を言い当てている言葉
4.
アスキー
売り上げランキング: 385

あえていうならIT文化論
ソフトウェアの技術者におもろい本
ユーザ・エクスペリエンスと「おもてなし」、そしてその次へ
おもてなしという日本古来からの言葉をキーワードにIT業界を読む
残念
5.
文藝春秋
売り上げランキング: 98

爽快な読後感
これからの時代の標になるかも・・・
シリコンバレー精神好きだ〜
ウェブ時代の名言集
業界人、必携
6.
光文社
売り上げランキング: 134

雑誌などで儲かったという人は「ジャンケンゲーム」の勝者にすぎない
投資をしようか悩んでいる人はぜひ読んでほしい本
投資を始めるまえに読むべし
リスクとリターンを比較する
プロ任せでは金融リテラシーは身につかない
7.
文藝春秋
売り上げランキング: 163

これを読んで統計を学ぼうと思いました
人間に残された一番重要なことは、頭や直感を使い、仮設を生み出すこと
統計や数学が苦手・無縁と思っている人におすすめ
大量データの驚異=脅威
勘違いは禁物ですが・・・・。
8.
ソフトバンク クリエイティブ
売り上げランキング: 65085

得意満面にエリートの「ウソ」をぶった切る本
学者の論評の鵜呑みはイケナイと諭す啓発書
悲しい
サイレントマジョリティの意見を代弁
学者を鵜呑みにせず自分で考えようというというキッカケ





![学者のウソ [ソフトバンク新書]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/114c3dG1PuL.jpg)
